87: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/06/27(火) 14:45:45.67 ID:d4zFeL7H0
【同刻 芦ノ湖】
ゲンドウ「始まりの地、ここが出発地点か」
カヲル「夜分遅くに一人で出歩くとは感心できませんね。あなたは、自分のお立場をもう少し考えた方がいい」
ゲンドウ「……」 チラ
カヲル「はじめまして。お父さん」
ゲンドウ「その制服は、第壱中学校のものだな」
カヲル「はい。と、言っても通ってすらいませんが」
ゲンドウ「機関の所属名はどこだ」
カヲル「重要なのは、ボクがヒトかそうではないかではありませんか?」
ゲンドウ「……」
カヲル「大昔、ここにリリスの黒き月が落ちてファーストインパクトが起こった。そして、アダムから生まれた僕たち使徒は、眠りについた」
ゲンドウ「俺に接触してきた目的はなんだ」
カヲル「言ったでしょ? どこでもないって。目的は生き残る、わかりやすい話です」
ゲンドウ「(使徒か)」
カヲル「その呼び名はおかしい。リリンも気がついているんだろ? ヒトも十八番目の使徒であるということを」
ゲンドウ「思考を読めるようだな」
カヲル「そんなのはどうでもいい。リリンはリリスから生まれ、僕たちはアダムから生まれた。種を残す為に僕たちはどちらか一方が滅ぶ運命にある」
ゲンドウ「あなた達使徒が悠久の時を生きられても、我々人類と同様、永劫ではない」
カヲル「ヒトは死にゆく運命(さだめ)だと言いたいのかい? 次の世代へのバトンを紡いで」
ゲンドウ「人は完璧にはなれない。状況への変化に適応するために選んだ進化のプロセスだ」
カヲル「なぜ?」
ゲンドウ「群れに答えはある。個として見れば脆弱な生物だ」
カヲル「完璧な生命体は救済だと考えているのかい?」
ゲンドウ「むなしいだけだ。群れを捨てれば、完璧であるにこしたことはないだろう。だが、それでは生きる意義を失う」
カヲル「死の価値とはなんだ?」
ゲンドウ「死とは個の終着点に過ぎない。魂の解放とも言えるが、それまでになにを成すかという散りざま次第だ」
カヲル「……」
ゲンドウ「あなたは何番目の使徒なのだ」
カヲル「ボクは渚カヲル。第壱使徒です」
ゲンドウ「なに?」ピク
カヲル「話を続けましょう。ボクたちはお互いに不完全な生命体だ。アダムより生まれしヒト以外の使徒はリリンを滅ぼし、完全な個体になろうとしている。わからないのは、リリン。キミ達だよ」
ゲンドウ「それが、今の質問か」
カヲル「リリンは自ら進化の可能性を閉ざそうとしている。科学の力を使い、エヴァというデッドコピーを作り、使徒を撃退する一方で、滅びの道を歩んでいる」
ゲンドウ「ふっ」
カヲル「なぜだ? なぜ、リリンは生き残りたいと願うのに、群れを放棄しようとする? 今の話と辻褄が合わないじゃないか」
ゲンドウ「人の心が気になるか」
カヲル「……」
ゲンドウ「知恵の実を与えられた人類はいまや、一部の意向により方向づけられ、操作されている。個としての意思は尊重されない」
カヲル「ヒトをまとめるためにかい?」
ゲンドウ「領土をまとめるには統治者が必要だ。しかし、いずれ腐敗していく……進化は頭打ちなのだよ。紛争は終わらず、破壊を、資源を食いつぶしている。人は増えすぎ、傲慢になってしまったのだ」
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