6: ◆3P1o8JdRMw[saga ]
2017/06/26(月) 23:15:58.61 ID:DTO7WTVj0
特に広いわけではないこの事務所では、どうしてだか仮眠室がおかれている。もっとも、部屋としてはベッドを1つ置くと他のものは何も置けないくらいの狭いもので、今まで使っている人をほとんど見かけなかったのもあって、アタシはそこにいる可能性をすっかり失念してしまっていたのだった。
おもわず頭を抱えて、天を仰いでしまう。抜けていたのはアタシの方だった。すぐ横でプロデューサーが寝ているとはいざ知らず、30分間ただむやみやたらにイライラしていたとは。
まぁ、クヨクヨしていても仕方がないか。
数分後、落ち込む自分の心にそう活を入れてから、アタシはプロデューサーを起こしてから帰ることを決めた。バッグを肩にかけ、仮眠室に向かう。
寝ているであろう彼を起こしてしまうのは少し悪いと思ったけど、もう時間帯が時間帯だし、家に帰らず仮眠室で寝ていたとすれば彼も朝まで寝るつもりはない筈だ。少し怒られるかもしれないけど、あの暗い道を一人で帰ることに比べたらずっとずっとマシに思えた。
コンコン、と軽くドアを叩いてみる。返事はない。
「プロデューサー?」
呼びかけてみるも、音一つ聞こえてくることはない。仕方なく、あたしは仮眠室のドアを開けた。
部屋は、少し蒸し暑かった。多分、狭いせいで熱気がこもりやすいのだろう。そんな中、常夜灯の薄いオレンジ色に照らさせて、プロデューサーはすやすやと気持ちがよさそうに眠っている。電話をしても起きなかったのだから、相当疲れているのだろう。
その姿を見て、さっきまでの恥ずかしむような気持ちが薄れて、労いたいという気持ちがわいてきた。きっと、彼はいつもこうして仮眠をとっているんだ。アタシのために、他の皆のために、彼は常に一生懸命に取り組んでいる。知っていた筈のことだったけど、こうして熟睡している姿を見て再確認したような気分だった。
まだ目が慣れず、顔をよく見ることができないけど、ベッドの近くに置いてある椅子に服がかかっていたことはわかった。多分、いつものスーツ姿では寝にくいので着替えているのだろう。外は冷えるので着替えることになることを考えると申し訳ないけど、起こさないわけにもいかない。そうして、アタシはプロデューサーの肩をゆすろうと彼に近づいていって――。
ソレに気が付いた。
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