モバP「アイドルをオモチャにするクスリ 心・響子編」
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◆FreegeF7ndth
[saga]
2017/07/15(土) 17:19:18.54 ID:7VfU3ezmo
きっかけは、夜の居酒屋ロケだった。
心はビールの注ぎ方や酒の勧め方が堂に入っていて、
共演者を片っ端から上手く酔わせるという技能があった。
それが絵的にいけると判断されたか、飲み歩き番組のオファーが増えた。
あの夜の仕事も、繁華街で飲み屋を朝までハシゴして収録するものだった。
ただプロデューサーとして心の売り方を考えると、
酒を飲んだり飲ませたりの番組は、あまりやらせたくなかった。
柊志乃や高垣楓のように当人が酒好きならともかく、心の酒量はたしなむ程度。
酒のうんちくをキメるキャラでもない。
アルコールまじりだと現場がどうしても弛緩するから、心の必死さが浮く。
もちろん体にも負担がかかる。
よほどうまい話でもなければ、受けたくなかった。
『プロデューサーの言うコトも分かるけどね……でも、シゴト選ぶのは、抵抗あるわ』
俺の話を聞いても、心はまだ仕事を受けるつもりだった。
そこで切り口を変え、プロデューサーの立場を持ち出した。
心のプロデュース方針は、心自身ばかりではなく、プロデュースする俺の都合も絡む。
俺の担当アイドルの中では、心は(芸歴はともかく人生の上では)古参兵である。
古参兵が必死にやると、新兵への良い刺激となる。
逆に古参兵は、なるべく見目の良い仕事をコンスタントに回す必要がある。
後輩からは「はぁとさんは10年後の私の姿かも」と思われる立場だから、
いい感じの――心の必死さが格好良さへ引き立つ――仕事以外は、やらせたくない。
『いやん☆ 照れるなーもー!
やっぱりプロデューサーったら、なんだかんだで、はぁとに気を遣ってくれちゃってさ。
おかげさまで、こんなはぁとでもなんとかアイドルができてる』
が、これを心に言ったのは悪手だった。
『でも……プロデューサーは、はぁとがこの仕事を、
若い子たちから見てかっこよくデキないだろうなぁ、って言いたいんだよね』
佐藤心26歳。
乙女の繊細さと大人の意地を持つオンナである。
『はぁと、ムリって言われると、燃えるタチなんだ……
プロデューサーったら、はぁとを煽ってお人の悪い……ヤラせてみろよ、なっ☆』
シラフの仕事ならともかく、酒が入る前提の仕事でこのノリでは、うまく行きそうもなかった。
しかしここで無理に止めても、しこりを残すばかり。
俺は止めるのを諦め、急なトラブルに備えて予定を調整し、心を送り出した。
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