31: ◆JdP.BncS3o[saga]
2017/07/23(日) 22:57:50.21 ID:xFwQuV7/o
-
11合目 さくらの森
-
「あおいー、露出しようぜー」
唐突に、まるで野球でもするかのようにひなたが言い出す。
なんなのよ、一体。
ここは第二天覧山に続く道、飯能さくらの森。
人通りが少ないとはいっても一応は道端。
そして昨日みたいに隠れられる場所はない。
「こんなところで脱ぐわけないでしょ……」
「いやいや、服を脱ぐだけが露出じゃないんだよ」
「何するつもり?」
「例えばそう……じゃーん!」
ひなたは道の端に寄って周りに人目がないことを確認するといきなりスカートをめくった。
一瞬、「クマさんだー」というセリフが頭を過った。
「えーと、何してんのひなた」
「このぐらいの露出なら余裕っしょ。ほらあおいもやってみ」
余裕じゃないんだけど、ひなたがやったからには退けない。躊躇しながらスカートをめくりあげた。
「こ、これは思ったより……なんか気恥ずかしい!」
「でしょー?」
「でも恥ずかしいだけで気持ちよさはないかな」
「うん、なんでだろうね。やってることは結構スリリングなはずなのにドキドキしてこない」
どんな露出が気持ちいいのか、それは案外難しい
だけどこういうの、なんか楽しい。
スカートをめくって見せっこするのも、谷川岳で朝日を見るのも、そう、どんなことでも好きな人と体験を共有できてる実感がたまらなくいい。
ねえひなた。私、ひなたと出会ってはじめてわかったような気がする。
「刺激が足りないのかも」
「うーん、なるほど。じゃパンツ脱いでやってみない?さあ脱いで」
「簡単に言わないで、無理だってば」
「ま、私も無理だと思ったけどね!ここじゃなくて、もうちょっと行ったとこにトイレがあるからそこでしよ。私もするから」
私、露出やめようと思ったんだけど……
でもせっかくのひなたとの初デートだし、少しぐらいつきあってあげようかな……
ひなたのあとをついて行き、二人して清泰寺の横をこそこそと通過する。
ここを通らないとトイレにいけないんだけど、お寺のすぐそばで露出することに、どうにも後ろめたさを隠せない。
70Res/95.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20