56: ◆JdP.BncS3o[saga]
2017/08/05(土) 18:57:38.54 ID:YVBZmXnlo
§ season 2.1 - 番外編・ここなちゃんの5年間
小さいころからずっと、家には父がいなくて母は夜遅くまで働きに出ていました。
家に帰っても一人きりの時間は多く、それが露出をはじめるには最高の環境にあったことは間違いありません。
― 5年前の、ある暑い夏の日のこと。
その日は夕方になってもいっこうに気温は下がらず、蒸した空気が充満する部屋の中でだらだらと過ごしていました。
「もう、脱いじゃおうかな」
女の子がそんなことをするなんてはしたないとも思いましたが、誰も見ていないしなにより本当に暑いのだから仕方ありません。
服を脱いで寝転がると、少し過ごしやすくなりました。
こうなると次は涼しい風がほしくなります。
身をかがめて窓に向かって歩きました。
外を歩く人に見られないよう、ゆっくりと気を付けて。
「気持ちいい……」
家の中で涼しく過ごす方法を知ってしまった私は次の日も、その次の日も同じように窓辺に立ちました。
それから私は部屋でパンツまでも脱ぐことを思いつき、裸になってみました。
最初は立ちあがるのも怖くて、四つん這いで歩いていました。
こんなところを誰かに……友達とかに見られたら……怖いのに、私はついつい「見られそう」なことをやってしまいます。
最後にはわざとギリギリ外から見えない位置に立って、心臓をバクバクさせながら涼むようになりました。
夏休みも終わり、季節は秋になっても部屋で裸になる習慣は抜けません。
それどころか、だんだん裸でいる時間は長くなり、裸のままごはんを食べてお風呂に入って宿題して……
外歩いたらもっと気持ちよさそう……
玄関のカギがかかっていることを確認して靴を履きました。靴だけ履いていると、まるで裸でお外にいるみたいで、ドキドキします。
そんなことをしながら、いつしか私は外で裸になっている自分の姿を空想しながら日々を送るようになっていました。
空想だけで抑えきれなくなったのはちょうど季節が一周した頃でした。
去年よりも暑い夏でしたから、家で一人のときは当然のように裸で過ごしていました。
家の外に飛び出したくなる欲求は消え去るどころか去年より強くなり、具体的なプランを考え始めるようになります。
裸で過ごしていたことで感覚が鋭敏になっていた私は、午後8時からしばらく足音が聞こえてこないことに気付いていました。
私はその時を待って、えいっと玄関のドアを開きました。
そっと表の廊下を見回し、足を踏み出します。
玄関先でくるっと一回りすると恐怖のあまりすばやく家の中へ。
私はついに裸で外に出てしまいました。
それからは毎日がその繰り返し、だけど外にいられる時間がだんだん長くなってきました。
そしてある日、私は夜のお散歩に出かける決心を固めました。
身につけているのは家の鍵を入れておいたお気に入りのポーチとズックだけ。
誰にも見つからずに目的地にたどり着くことができるのでしょうか。
不自然にふるまうとかえって見咎められてしまうような気がして、私は普段通りに堂々と歩くことに努めました。
そして、小さいころよく遊んでいた近所の公園に着きました。
街灯を避けて公園に足を踏み入れ、まっすぐブランコのほうに向かいました。
裸ではさすがに座る気になれないので、ステップに両足を乗せて、立ちこぎしてみました。
冷たい風が直接肌に当たって気持ちいい……
「ああっ……うっ」
思わず変な声をあげてしまいます。
体に力が入らなくなって危険を感じ、ブランコの速度を落としてからゆっくりと飛び降り、四つん這いで着地します。
後ろからブランコにお尻を軽く叩かれて、その拍子にお股から熱い液体が流れ出てきました。
「公園で……おもらししちゃった……」
恥ずかしさが限界を突破し、逃げるように公園を立ち去りました。
まだ快感の余韻も冷めやらぬまま夜道を歩いていると、曲がり角の向こう側から足音が聞こえてきました。
私はあわてて反対側に走り出しました。大きく遠回りしますが仕方ありません。
それでもなんとか人目を避けて帰り着いたものの(こちらが気付かないだけで見られていたかもしれませんが)、心底怖くなってしまい、それからしばらく外で裸になることはありませんでした。
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