57: ◆JdP.BncS3o[saga]
2017/08/05(土) 19:44:28.20 ID:YVBZmXnlo
あの日から2年近くが過ぎて私は中学生になり、友達の会話も色めいたものへ変わっていきました。
そんな中クラスメイトが偶然「人目を忍んで野外で裸になる露出狂」の話をしているのを耳にして驚きました。
私も露出狂というものは知っていましたが、それが意味するところは「性器を見せつけたがる男性」というものだけです。
それとは違うタイプの露出狂という人種がいるらしく、そしてかつて私がしていたこともおそらくそういった類のもの。
私だけじゃない……ごく一部とは思いますが男性も女性もやっていると知って少しだけ安心しました。
そのころから、インターネットなどで安全を確保することや場所の選び方を習得しました。
協力してくれる人がいればできることが増えて飛躍的に安全になります。
とはいえ、協力をお願いするということは、自分が露出狂であることを告白するということです。今の私にそんな人はいません。
結局、また欲求を抑えられなくなった私は一人で野外露出を再開しました。
今度は家から裸で出かけるような無謀すぎることはやめて、山の中などで人の来ない場所を探すなど比較的安全なやり方を模索するようになり、山中のいろんな場所で露出できるようになりました。
とはいえ、それも同じ場所だと飽きてしまい、だんだんと大胆な場所を選ぶようになっていきました。
低い岩場の上で裸になりました。
見晴らしは良く、清涼な風も吹き抜けるうえに登ってくる人がいれば早いうちに察知できて安心です。
私は大の字に寝ころび大自然を満喫していました。
こんなところ見つかったら大変なのに、誰かに見てほしい気持ちが芽生えてきました。
こんなに気持ちいいことをしてるって誰かに伝えたい。でも誰にも知られたくない。恥ずかしい。
空想の中で私は崖の下に向かって手を振っていて、崖の下の人たちは私を羨ましがっています。
みんな私を見てる……
そんなことを考えていると、自然と敏感なところに手が伸びていき、空想の私もまた大勢の人たちの前ではしたなく乱れていきます。
いま誰か来ても気付かないかも。でも、もう少しだけ……もう少し……
そんなときにタイミング悪く足音が聞こえてきます。あわてて立ち上がり、ザックから服を取り出して着ました。
でもそれはどうやら勘違いで、ただの風の音だったようです。
助かったのはいいのですが、あわてて立ち上がったはずみで靴の裏をはがしてしまいました。
さて、どうやって帰ったものでしょうか……
途方にくれていたこんな私を助けてくれたのがあおいさんとひなたさんです。
靴を応急処置してくれて、一緒にふもとまで下りました。
それから何度かお話をしているうち、パートナーになってほしいと思いはじめました。
おふたりになら信頼できるし話しやすいし、安心できます。
とはいえ……やっぱりさすがにそういう話を切り出すのはかなり勇気のいることです。
その後、谷川岳でほのかさんに出会って何度か一緒に山に登るうちに、今度はほのかさんに手伝ってもらいたいと考えるようになりました。
これまでは手伝ってくれる人が欲しい、としか思っていなかったのが良くなかったんだと気付きました。
たとえば、もしあおいさんやひなたさんに手伝ってもらえればとても助かります。
だけどそれ以上の気持ちは起きなかったんです。
野外なのに裸になっちゃってる私の恥ずかしい姿を大好きなほのかさんに見てほしい。撮ってほしい。
今は無理でも、いつか近いうちに……
〜 つづく 〜
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