65: ◆JdP.BncS3o[saga]
2017/11/09(木) 23:34:00.41 ID:xG9aVRN90
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2合目 私たちの散歩道
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「散歩って言ったよね」
「言ったよ」
「さっきから上りが続いてるんだけど」
「山だからね」
「帰る」
散歩コースに天覧山を選んだ私たちだったがなぜかゆうかは不満な様子。
私はしぶしぶ小春とともに帰りかけるゆうかを引き留めにかかった。
「まあまあ、山といっても登山というより散歩気分で行けるから……」
「そりゃあんたたちはそうでしょうよ。でもね私にとってはそうじゃない。ねえわかるでしょこの気持ち」
なんだかぐったりしてる。
どうやら三峰での体験がゆうかにはちょっとしたトラウマになっているらしい。
今度は本当にお気軽に登れちゃうんだけどね。
「大丈夫だって、あおいちゃんやひなたちゃんもそう言ってたわよ」
「だから山仲間基準やめて」
「とか言ってる間に頂上」
小春が頂上への看板を指さした。
「えっもう?」
「知らなかった?ゆうか、ここ来るの初めてだっけ」
「んー、小学生のとき以来かなあ」
「ああそりゃあの頃とは距離感違うか」
「それにしても何度来てもいい景色ねえ」
「はー、まあいっか……さ、帰ろう帰ろう」
標高200メートル弱の雄大な景色を前にゆうかは表情を緩ませ、それでも帰りたい魂は健在。
「そーだ!多峯主行こー」
「はあっ!?」
山頂から多峯主山へ進もうとする小春にすかさずゆうかが止めようとする。
小春は最初の予定などなんのその、すっかり心は山へと向かっていた。
わかる、わかるよ、その気持ちは。だけど……
「ゆうか、もう小春は止められない!行くよ!」
「かえでまで!ちょっと待ちなさいよー」
「大丈夫だってそんなに歩かないから」
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