267:名無しNIPPER[saga]
2018/03/24(土) 18:14:01.25 ID:f2KwpAYj0
おじさんは右手でストックのグリップを握り、左手を上からかぶせる様に置いてストックに体重を乗せた。
ストックはズブズブとアライさんの体にめり込んでいく。
アライさん「ぐぎぎぎぃぃ……」
アライさんは口を噛み締めながらストックを掴んで自分の体にそれが沈んでいくのを阻止しようとするが、
弱って力が出ないのかすぐに腕から力が抜けていく様子が見えた。
アライさん「なんで…アッ…アライさんを…のけものにする…のだ…。アライさんは…なにも…してなぃ……」
搾り出す様にそれだけ言うとアライさんは目をつむり動かなくなった。細い棒で刺しただけなら痛みでかえって暴れだしそうなものだが…。
よほど衰弱しきっていたのか、それともおじさんの手際が良かったと言う事なのか男にはわからなかった。
おじさん「力尽きた様ですね。ではこの罠はお願いしてもいいですか?」
アライさんの死体は罠に残ったままだ。死体はここに打ち捨てていくと思っていたので一瞬疑問に思ったが、
きちんと回収して然るべき方法で処理をするという事だろう。
さっき質問は遠慮なくしてくれて構わない、と言っていたがわざわざ聞く程の事でも無いか。
それに今日はあくまでおじさんの手伝いに来ているだけだから、余計な口を挟むべきではない。
男「わかりました。よっこいせ…」
返事をし、おじさんの後に続く。久々に持ち上げる罠はズシリと重く、冬の間にジムにでも通っておくべきだったなと少し後悔した。
男「このアライさん、どこか別の所から来たみたいですけど、場所は聞かなくて良かったんですか?」
このくらいの質問はしてもいいだろう。普通に気になったしな。
おじさん「あの態度ではまともに話をする気は無かったみたいですので、前々からこの山にいた訳ではない事が分かれば十分でしたね。
それに方角を理解しているアライさんはほぼいないですから、聞いたとしても満足のいく返事は得られなかったと思いますよ。
せいぜいあっちとかこっちといった言い方しかしません。時間によって太陽の位置が変わるくらいの事は知っている個体もいる様ですが、
方角に結びつけて考えるには至っていないんでしょうね。ましてや星を観測して方角を知るなんて以ての外でしょうなあ。
…じゃあ今度またアライさんが捕まったら、試しに聞いてみますか?」
男「はあ、そういう事だったんですか。そういえば人間に追われてここにやって来た、みたいな事言ってましたけど
そういうアライさんって警戒心が強いんですよね?それなのになんで罠に引っ掛かったんでしょう」
おじさん「あの衰弱ぶりを見るに罠に掛かる前から弱っていたでしょうから、単に背に腹は代えられなかったんじゃないですかね。
あんな状態でも自分なら大丈夫だろう、みたいな過信もあったのかもしれません」
男「つくづく目先の事しか考えない生き物ですねえ」
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