275:名無しNIPPER[saga]
2018/03/28(水) 18:22:33.30 ID:nA7XTHUk0
おじさん「まあまあ…すぐに終わるよ。例えばの話だけど、アライさんとアライちゃんのどっちかだけしか助からない場合、アライさんならどうする?」
アライさん「何でそんな事聞くのだ…。そんなのちびを助けるに決まってるのだ!そしてかっこ良くアライさんも助かるのだ!」
おじさん「それだと質問の答えにならないけど、とりあえずアライちゃんを優先するって事でいいんだね。
私も家族がいるからその気持ちは分かるよ。でも本当にそうかな?」
アライさん「どういう事なのだ?」
おじさん「考えてごらん。どっちかしか生き延びられない様な厳しい状況でアライちゃんだけ生き残っても、その後どうなると思う?」
アライさん「何が言いたいのだ…」
おじさん「その場ではアライちゃんの事はあきらめて、アライさんが助かる道を選ぶ方が今後の為にはいいんじゃないかな?」
アライさん「!!…とんでもない事を言ってるって分かってるのか!?これだから人間はくずで浅はかなのだ!
それに比べればアライさんのちびは賢いから、アライさんがいなくてもどうにかなるって信じてるのだ!」
おじさん「アライちゃんを信じるのは勝手だけど、いかに賢くてもアライちゃんがその後すぐに死んでしまわない保証なんて無いよねえ。
それにさっきアライさんも言ってたよね。お母さんの偉大さに気付いた、って。もし寒い時期にお母さんがいなければ
まだ小さいけど優秀で有能だったアライさんでもどうなっていたかは、苦労しながら子育てしてきたアライさんなら分かるよね?」
アライさん「うぐぐ…それでも…それでもアライさんは……ちびを選ぶのだ…」
おじさん「アライちゃんなんてまた産めばいいじゃない」
アライさん「っ!?…お前は最低なのだ!ちびを…ちびをなんだと思っているのだあ!!」
おじさん「でも事実、アライさんはそうしてきた訳じゃないの?最初の寒い時期に三人のアライちゃんを失ったって言ってたよねえ」
アライさん「うぐう…あれは…あれは仕方が無かったのだあ…。アライさんのせいじゃ無いのだ…寒いのが悪いのだぁ…」
アライさんがここまで思い悩むという事は、さっきの身の上話やアライちゃんの身を案じているという気持ちは本物だった、という事か。
平然と嘘をつく様なアライさん(実際にいるのか全くもって疑わしいが)なら、話の内容を突っつかれてものらりくらりと言い逃れていただろうからな。
おじさんも目的は果たしたと考えた様で、男の方を向き軽く頷いた。その後アライさんの方に向き直し、
おじさん「別にアライさんの事を責めている訳じゃないよ。その経験のおかげで今度はアライちゃんを無事に育てる事が出来たんだしね。
でも状況によっては非情になる事も必要なんじゃないかなあ」
アライさん「うう…わ、わかったのだ…。人間もたまには役に立つ事を言うのだ…」
アライさんは大分落ち込んでる様子だ。おじさんは地面に転がっていた袋からアライちゃんを出すと、罠の前に置いてやった。
アライちゃん「ぷはぁー、やっとでられたのだあ、くるしかったのだ。あ、おかあしゃん!たすけてなのだ!ひとしゃんがいじわるするのだあ!」
アライちゃんを一目見たアライさんは少し元気を取り戻し、
アライさん「ちび…かわいいちび…アライさんの大事なちびぃ…今助けてやるのだ。やい人間、話をしてやったんだからアライさんをここから出すのだ!」
おじさん「アライさん、もう一度聞くよ。アライさんとアライちゃん、どっちかしか助からない状況になったらどうする?」
続く
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