283:名無しNIPPER[saga]
2018/04/09(月) 18:15:12.22 ID:xEEURsTj0
アライさん「もうその質問はいいのだ。そんな事は考えたくないのだ…」
アライさんは目を逸らしてうつむきながら言う。さっきみたいに即答しないあたり、答えはほとんど決まっている様なものだ。
返答を聞いたおじさんは、四つん這いになって折れ曲がっているアライちゃんの右脚のふくらはぎをギュッと踏みつけた。
アライちゃん「ひぎいぃ!?いだいのだ、ひとじゃんっ、やめるのだあ!!」
アライちゃんは尻尾をブンブンと振り回しながら訴えている。おじさんはすぐに踏むのを止め、足をどかした。力加減はしていたらしく、
痛がってはいるもののアライちゃんの脚が折れているといった様子は無い。一方アライさんはアライちゃんが踏まれた瞬間を見ていなかった様で、
アライさん「ちびに何をしたのだ!?ちびが嫌がる事をするのは許さないのだあ!」
おじさん「はっきりと答えてくれないと困るねえ。アライさんは今そういった状況に置かれているのだから」
今更言うまでもないが、おじさんは遊んでいた。これが最後の罠だし、時間もまだ正午前で余裕はある。だからそういった事をしたくなる気持ちは分かるが、
いかに慣れた場所とはいえ何が起きるか分からない山中で悠長に遊ぶのはいかがなものか。いたぶるのなら下山してからじっくりやればいいのではないか。
どうにも今まで見てきた彼らしくない。
…と思ったが良く考えてみればすでに答えは出ていて、要するにおじさんはじっくり遊ぶ気なんて無いという事だ。
適当に言いくるめておじさんが望む言葉をアライさんから引き出した後、速やかに処分するつもりなんだろう。相変わらず趣味が悪い。
アライさん「もう答えたくないって言ってるのだ!そんな事よりとっととアライさんとちびをかいほーするのだあ!今ならまだ許してやるのだ!」
おじさん「じゃあアライさんにだけ聞くのは不公平だからアライちゃんにも聞いてみようか。アライちゃん、さっきみたいな痛い事をアライちゃんか
お母さんにするけど、どっちがいいと思う?」
アライちゃん「ひいっ。アライしゃん、いたいのやーなのだぁ…。でもでも、おかあしゃんがいじめられるのもいやなのだ…。
……ひとしゃん、アライしゃんがいたいのがまんすれば、またおかあしゃんとあそべるようになるのだ?」
おじさん「遊べる様にはならないねえ。それだとアライちゃんがいなくなってしまうからね」
アライちゃん「えっ、アライしゃんいなくなっちゃうのだ?アライしゃんきえちゃうのだ?……じゃあおかあしゃんががまんしたらどうなるのだ?」
おじさん「今度はお母さんがいなくなってしまうから、同じ事だよ」
アライちゃん「おかあしゃんがいなくなったらおかあしゃんとあそべなくなるのだ…。アライしゃんがいなくなってもおかあしゃんとあそべないのだ…。
いったいどうすればいいのだ……アライしゃん、きめられないのだぁ…」
おじさん「どっちを選んでも結果が同じならアライちゃんが楽な方を選べばいいんじゃないの」
アライちゃん「それもそうなのだ。おかあしゃんも『むだなことはしてはいけないのだ』ってよくいってたのだ。
あと『そうしないとやせいではいきていけないのだ』ともいってたのだぁ」
おじさん「いい教えだねえ。それはぜひ実践するべきだね」
アライさん「ちょっと待つのだ」
おじさん「どうしたのアライさん」
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