【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 21:46:49.42 ID:u1xI7N2CO
一方で二人が一線を越えた日のことは二人ともはっきりと覚えている。それはある土曜の白昼のことであった。
その日、というよりもその前日から千足は機嫌が悪かった。もちろん千足はそんなことなどおくびにも出さないように振る舞っていたが見る人が見ればどこかしらぎこちないところが見てとれた。しかしその理由までわかる人はいなかったであろう。普段から話を聞いていた兎角を除いては。
土曜日の朝は雨であったがそれが千足の機嫌をさらに悪くさせた。こんな天気ではランニングもできない。千足は悶々としたものを抱えたままだった。
「それじゃあ千足さん、明日の夜までには戻りますので」
「ああ、気を付けてな」
正午過ぎ、柩が私用で外出すると千足はますますすることがなくなった。腹の底に欲求不満は溜まっていたが千足は元よりあまり自慰で満足できる方ではなかった。
ではどうしようかとふと外を見ると雨がやんでいたので千足は朝の分のランニングをすることにした。もちろん体を動かすことで多少なり性欲を発散させる目的があったのは言うまでもない。
トレーニングウェアに着替えて寮から出るとちょうど兎角も走り出そうとしているところだった。
「奇遇だな、東。一緒に走ってもいいかい?」
「……好きにしろ」
二人は昼食後ということもありゆっくりとしたスピードで走り出した。
「さっき桐ヶ谷が門から出るところを見たが……」
「ああ、私用だそうだ。今日は帰らないらしい」
何気なく会話をする二人。しかし兎角は千足の無理を感じ取り小さくため息をついた。
「?どうかしたか?」
「いや、なにも」
そう答えた兎角であったが実際はひどく気になっていた。なぜなら欲求不満を黙って溜め込むその姿は兎角もまた身に覚えがあったからだ。
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