【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 21:44:53.44 ID:u1xI7N2CO
話は四ヶ月ほど前までさかのぼる。
当時兎角と千足は互いに共通の悩みを持っていた。それは端的に言えば欲求不満。性欲が満たされないという悩みであった。
もちろん両者共に恋人はおり夜の営みもそれなりはしていた。しかし二人は性交渉においてはもっぱら攻める役になることが多かった。そのため必然触れられるよりも触れることの方が多くなり、結果腹の底の辺りに満たされないものが残る夜も多かった。
これは兎角や千足が普段どちらかと言えば男側の役割を演じていることも関係していたが、それ以上に二人が相手に自分をさらけ出すことに恥ずかしさを感じていたためでもあった。
むしろ晴にしても柩にしてもたまには気持ちよくしてあげようか?と気を使ったことは一度や二度ではない。しかしその度に恥ずかしさから断ってきたのは兎角と千足自身であった。
相手に恥ずかしい姿は見せられない。相手にとって自分は凛々しく格好いいままでいたい。
そしてそんな経験がいくつも重なったせいで今さら気持ちよくしてほしいなどと言い出せなくなっていたのが当時の兎角と千足であった。
悩みを共有した最初の頃のことは二人とも覚えていない。
おそらくは朝のランニングかストレッチの最中にどちらかがうっかりと不満を口にした、それが始まりだったのだろう。気付けばそれほど多くない二人の会話の大半が互いの不甲斐なさの罵り合いと慰め合いになっていた。
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