2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/09/25(月) 00:59:08.22 ID:KWEhQLlx0
「プロデューサー!はぁい、いつもの志希ちゃん謹製コーヒーだよ〜♪」
彼女が研究用に使っている部屋で、彼女のソファに座り、彼女の差し出したコーヒーカップを受け取る。カップの中は黒色の液体に満たされていて、それからほのかに立つ湯気に混じった香りが少しだけ心を落ち着かせた。
「ああ、ありがとう」
礼を言いながら、俺はその液体を口に含み転がす。明らかにカフェインとは違った苦みを感じたが、この場違いな苦みにはもう慣れきっている。特段気にすること無く、残りも飲み干した。
志希は自らが差し出した「もの」を、俺が飲む様を満足そうに、鼻息混じりに頬杖ついて眺めている。飲み干したカップをテーブルに置くと、俺に抱きついて頭を撫でてきた。
「んふふ〜♪毎度の事ながらいい飲みっぷりだね〜♪」
頭を撫でながら俺の首筋の体臭を嗅ぐ志希。流石に気恥ずかしいが、無理にどかすこともないし、この暖かく柔らかい感触を自分で拒否する程愚かでも無い。
志希の体の後ろまで腕を回して、抱き締めた。こうすると、志希は「ん〜♪」と言い、身をよじらせて喜ぶ。その反応が可愛らしくて、更に強く抱き締めてしま移送になるが、力を込めすぎると嫌がられるので、このままの力加減を保つ。
しばらく志希に臭いを嗅がせ(彼女曰くハスハス)ていると、段々と頭が重くなって、体が倦怠感に支配される。抱き締めたいという思いとは裏腹に、腕はだらんとして志希の体から離れてしまう。
しかし、志希は抱き付いていた腕を離した俺に不満を示すどころか、むしろ満足そうに笑みを浮かべ俺に向き合う。
「効いてきた?」
「……あ、あぁ……」
「にゃふふ♪そう♪」
志希の投げかけた疑問に、全くもってちゃんとしていない返答をする。志希はその返答になっていない返答を聞くと、口角を上げ、一度ぎゅーっと強く体に抱きつき、
「じゃ、行こっか♪」
とだけ俺に告げる。志希はソファーから立ち上がり、俺の体を支えながら、奥の薄暗い寝室にあるベッドまで、慣れた手つきで運んだ。
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