イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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61: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2018/02/04(日) 03:19:12.60 ID:jSrQCDao0
…深夜…

ライモン「チェザーレさん、次はこの方です…ナポリ第十二鎮守府……駆潜艇隊ですね」

チェザーレ「うむ、駆潜艇隊か…潜水艦相手ならちょうどいいではないか」

…武人の迫力と雄弁、それに持ち前の女たらしの能力をフルに活用して提督の手帳に載っている提督や司令、それに力を貸してくれそうな軍内の愛人やら恋人たちに片っ端から電話をかけるチェザーレ……交換手がいた頃の壁掛け電話よりずっと近代的なボタン式の電話を慣れない手つきでぎこちなく押しながら、少し息を整える…

チェザーレ「むむむ、まだ出ないか……」

チェザーレ「…もしもし、タラント第六のジュリオ・チェザーレですが…夜分遅くに申し訳ない……いかにも、司令はカンピオーニですが…」

チェザーレ「…いえ、実を言うと司令どのにちょっとした「個人的」頼みごとを…この数日、そちらの担当海域で深海側の潜水艦を捕捉あるいは探知したことは……」

チェザーレ「…確かにこんな時間ではなく昼間に電話を差し上げればよかったのでありましょうが、カンピオーニは年度末の戦果報告書を仕上げている最中で、差し戻しをうけてしまい…当方で損傷を与えた潜水艦がティレニア海方面に離脱したまでは分かっておるのですが、それが確認されないと戦果として公認できないと……ええ、いかにも…」

チェザーレ「…ちなみに、司令どのにカンピオーニから伝言もうけたまわっておりまして「ごめんね…でも、夜の方が貴女と近づけるような気がして♪」と……さようですか、この数日は潜水艦の艦影はなし……承知いたしました、そちらの愛の言葉はカンピオーニにも伝えておきますゆえ…では」

ライモン「どうでした?」

チェザーレ「駄目であった、しかし提督の腕前は大したものよ…いかにも眠そうで不機嫌な声が、「カンピオーニ」の名前を聞いた途端跳ね上がったぞ」

アッテンドーロ「で、あの愛の言葉は即興で?」

チェザーレ「いかにもチェザーレの即興よ…面倒をかける手前、何かくすぐったい言葉の一つもつけてやらんと……で、次は誰にかけるのだ?」

ライモン「あぁ、はい…次は……」

………

…一方・洞窟の大広間…

提督「…話を聞きたい、ですか?」

クィーン・エリザベスの深海棲艦「ええ…先ごろそちらの捕虜になっていたG級駆逐艦が帰投し、なかなか興味深い話を携えて参りましたので……ぜひ他にも色々とお聞きしたいと思いまして。それと、そちらではなかなか厚遇して下さったようで、そのお礼も…彼女をここへ」

G級の深海棲艦「…グッド・イヴニング、アドミラル」


…真っ白な身体に牡蠣殻の付いていない彼女は、以前の作戦で鎮守府の艦隊と交戦・大破しても救助を拒んで抵抗し、とどめを刺されて沈んだと思っていたイギリス・「G」級の深海棲艦……その場では艦と一緒に沈んだと思われた彼女は、ぬらぬらした海藻のような髪をチェザーレのスクリュー軸に巻きつけ鎮守府までこっそりついてくると、出迎えていた艦娘たちや提督に襲い掛かって暴れ回り、最後は歓迎のために鎮守府の重巡「ポーラ」が用意した「五十年もの」のシェリーの瓶で後頭部を一撃されてようやくノックアウトした…提督はその後数日間、G級を鎮守府の空き部屋で寝泊まりさせ、最後は衣服数枚を渡し、鎮守府の中型潜水艦「フィリッポ・コリドーニ」も防水加工した写真などを手土産に持たせ海に帰してあげた…


提督「こんばんは…それで、一体どのようなことをお聞きになりたいのでしょう……」

クィーン・エリザベス「ええ…G級から聞いたところによると今は大戦も終わっているとか……面白いおとぎ話ですから、ぜひ聞かせて欲しいのです」

提督「お、おとぎ話ですか…」

G級「…前に言ったでしょう、心にも厚く貝殻が付いているからまだ大戦が続いているつもりなのよ」

クィーン・エリザベス「ふふ…証拠さえあれば余も信じますよ?」

提督「えーと…少しお耳を拝借」…周囲で瞳をぎらつかせている深海棲艦たちを見て、うかつなことを聞こえるように話す訳にはいかないと顔を近寄せた……

クィーン・エリザベス「…それで、今は何年だとおっしゃったのかしら…燃料の乏しいイタリア王国海軍がまだ活動しているのですから、きっと1941年あたりでしょうね?」

提督「失礼ながら……年です」

クィーン・エリザベス「まぁ、ふふ…面白いことをおっしゃる……ですが証拠がありません」

提督「…私を見てどう思いますか」

クィーン・エリザベス「ふふ…白くて柔らかい女性ね、可愛らしいですよ……それが?」

提督「…大戦中は女性が提督になれましたか?」

クィーン・エリザベス「いいえ…ですが敵国の事は分かりません、そうでしょう?……それにあなたの名前も聞いたことがありますよ、カンピオーニ提督」

提督「あー…私は戦中のカンピオーニ提督とは縁もゆかりもないのです」

クィーン・エリザベス「そう言って取引に使われないようにしているのですね…なかなか殊勝な心がけです」

提督「むぅ…話がまるで通じないわ……」




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