イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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900: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/11/30(木) 01:58:49.86 ID:tFe17jz30
提督「……誰にも口外しない?」

フェリーチェ「ええ、情報源は秘匿する」

提督「そう……ミカエラ、貴女の事を信じるわ」

フェリーチェ「ありがとう、フランチェスカ」

提督「いまさらお礼なんていらないわ……それで、どんなことを聞きたいの?」

フェリーチェ「とにかくクズネツォワについて気付いたこと、あるいは彼女が話したこと……些細な事でもちょっとした癖や習慣のことでも構わないわ」

提督「そうね、それじゃあ……クズネツォワ少将だけれど、とにかく煙草をよく吸うわ」

フェリーチェ「銘柄は?」

提督「そう言われても私は吸わないし、ましてやロシアの煙草だったから銘柄までは……でも確か、箱にソリの絵が描いてあったわ」

フェリーチェ「それなら『トロイカ』ね……」

提督「それから吸うときは左手の親指と人差し指でつまむように煙草を持っていたわ。なんでも「そう教え込まれた」みたいなことを自嘲するように言っていたけれど……」

フェリーチェ「なるほど、彼女ならそうでしょうね」

提督「それから、ライターにこだわりがあるようには見えなかったわ。ホテルのブックマッチを使っていたりもしたから」

フェリーチェ「ふっ……さすがの観察眼ね、フランチェスカ。身の回りのものにこだわりがないというのはこっちの調査でも推測されていたけれど、これで改めて裏付けが取れたわ」

提督「そう、良かったわ」

フェリーチェ「ええ。 ほかに特徴的な言動は?」

提督「えぇ…と、まずは一緒に夕食を食べて……」当日の経緯を順繰りに思い出していく提督……

フェリーチェ「お酒は?」

提督「ウォッカやシャンパンを飲んではいたわ。でも顔色は全然変わらないし、口調もまるでしらふのまま」

フェリーチェ「相当に強いみたいだから無理もないわ……続けて?」

提督「それから彼女の泊まっているホテルまで車に乗せてもらって……そうそう、副官のカサトノヴァ少佐はピストルを隠していたわ」

フェリーチェ「マカロフ?」

提督「たぶん……腰のバックサイド・ホルスターに入っているのがちらっと見えただけだから断言はできないけれど」

フェリーチェ「いいえ、十分な情報よ……それで?」

提督「えぇと、それから……」

………



提督「ん……///」

クズネツォワ「……どうだ?」

提督「あっ、あふ……っ///」

クズネツォワ「柔らかくて初々しい……まるでマツユキソウのようだな」

提督「あっ、ふ……あんっ……「森は生きている」ですか」

(※マツユキソウ…待雪草。英名スノードロップ。春を告げる白い可憐な花で、ロシア文学「森は生きている」で、わがままなお姫様が真冬にも関わらずマツユキソウを見たいと言ったことから、主人公の少女が意地悪な継母にマツユキソウを探してこいと真冬の森へと追いやられる)

クズネツォワ「マルシャークを読んだことがあるのか」

提督「ええ……」

…提督がまだ余韻に浸っているなか、クズネツォワはてきぱきと着替えていく……と、スラックスのベルトにホルスターを通し、無骨さと優雅さの同居したような「トカレフTT−33」ピストルを小机から出して突っ込んだ……

提督「ユーリア、そのピストルは……」

クズネツォワ「トカレフだが」

提督「いえ、トカレフなのは分かりますが……いつも手元に?」

クズネツォワ「ダー。祖母がくれたものなのだが、他のものはともかく、これだけは手放したことがない」

提督「……大事なものなのですね」

クズネツォワ「お守りの十字架や幸運の「うさぎの脚」よりは役に立つからな」そっけない言い方の中に、少しだけ冗談めかした声が混じった……

………


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