イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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930: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/06/17(月) 03:09:45.41 ID:9+gEnvwy0
…忘年会当日・朝…

足柄「……おはよう、提督」

百合姫提督「ええ、おはよう」

龍田「あらぁ、少し顔色が青いわねぇ……今日はうちの忘年会だけれど、昨日の今日で大丈夫?」

百合姫提督「ええ、昨夜はお酒の量も控え目にしておいたし、解散した後にちゃんと肝臓ドリンクも飲んでおいたから……でもちょっとだけ頭が重い感じ」少し眉をひそめ、こめかみにほっそりした手を当てた……

間宮「酔い覚ましにしじみのおみおつけを用意しておきましたが、よろしければ召し上がりますか?」

百合姫提督「ええ、いただきます……気づかってくれてありがとう、間宮」

間宮「いえ、たまたま市場で安く仕入れてきたものですから」そう言いつつもさりげなく気づかってくれる間宮の心遣いが温かい……

百合姫提督「それではいただきます」

…もう年末ということもあって、少し早いが実質仕事納めの状態になっている鎮守府……そのため、どうしても欠かせない当直や当番を除く全員が揃っていて、百合姫提督のあいさつのが済むとにぎやかな、しかしどこかゆったりした雰囲気の食事が始まった…

青葉「今夜は忘年会ですね、楽しみです♪」

百合姫提督「そういってもらえると方々に予約の電話をかけたかいがあるわ」

…朝食は麦の混じっていない「銀飯」と生卵、脂がのった鮭の塩焼きに、間宮たち給糧艦の娘たちが漬け樽いっぱいに用意し、ほどよく漬かって酸味が出始めている白菜の塩漬け、そして赤味噌を利かせたしじみの味噌汁……長机のあちこちにはほうじ茶のやかんが置かれ、食後のおやつとしてカゴに盛られた温州みかんが積まれている…

鵜来「ずずっ……あー、沁みる……」

百合姫提督「そうね……ふぅ」温かい味噌汁をすすると、脈打つような鈍い頭痛が治まるような気がする……

足柄「朝食が済んだらお風呂に浸かってきたら? そうすればすっきりするんじゃないかしら」

百合姫提督「いえ、軽くとはいえお化粧もしちゃったし、それにさすがに朝からお風呂だなんて贅沢すぎるから……」

足柄「いいじゃない。だいたいタラントのカンピオーニ提督のところなんて、温泉を引いた古代ローマの宮殿みたいな大浴場がいつでも入り放題だったじゃない。アレに比べればうちの浴場なんてささやかなものよ」

百合姫提督「さすがにあれと比較するのは……」カララの大理石や御影石をふんだんにあしらい、ランの花や観葉植物の植え込みまであるタラント第六鎮守府の豪華な大浴場を引き合いに出され、思わず苦笑いする百合姫提督……

龍田「確かにすごい大浴場だったわねぇ、お湯は少しぬるめだったけれど」

足柄「とにかく、今夜の忘年会までに気分を一新しておいてくれればいいのよ」

百合姫提督「頑張ります」

間宮「それではおみおつけのお代わりを召し上がっていただくということで……よそいましょうか?」

百合姫提督「ええ、それじゃあもう一杯……」

………

…

…夕方・横須賀市街の料亭「木乃伊」…

百合姫提督「ちゃんと全員いるかしら」

大淀「はい、全員います」

百合姫提督「なら良かったわ。さすがにこれだけいると、私も把握出来ないことがあるから……」

…陽が落ちるのも早い冬の夕暮れ、ぽつぽつと明かりが灯り始めた横須賀の街……その喧騒から少し外れた一角にある料亭「木乃伊(きのい)」……百合姫提督と「横須賀第二」鎮守府の艦娘たちにとってはお馴染みの料亭で、店先には小ぎれいに整えられた竹藪や石灯籠のある前庭があって、小粋な入口の小さな行灯に「料亭・木乃伊」とある…

仲居さん「いらっしゃいませ、お席はこちらに用意してあります」

長門「提督、では私と一緒に♪」

比叡「いえ、ここはお召し艦である私と……どうぞお手を♪」

金剛「あらぁ、年長者を差し置いて何をしているのかしら。提督は私と一緒に行くわよねぇ♪」

足柄「はいはいはい、いつものお店なんだから案内なんていらないでしょ……さ、行きましょう?」

百合姫提督「あ、ありがとう……」

足柄「いいのよ、いちいちこの調子じゃあ埒があかないわ」

電「……それにしてもここに来るのは夏にやった暑気払いの宴会以来ですね……っとと」

百合姫提督「あいた……っ!」

電「あいたぁ……済みません、提督。お怪我はなかったですか?」

百合姫提督「ええ、大丈夫……」

足柄「はぁ……提督と電ときたら、本当によくぶつかるんだから。今日は隣同士で座らないことね」


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