イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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931: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/06/24(月) 01:02:09.53 ID:+db1eW/Q0
…大部屋…

大淀「えー……それでは提督、乾杯の音頭をお願いします」

百合姫提督「はい」

…襖を開けて一続きにした畳敷きの大部屋で、床柱を背にした百合姫提督が立ち上がると左から右へと視線を動かしていく……勢揃いしている指揮下の娘たちは屈託のない表情で、それぞれビールグラスや熱燗のお猪口を手にしていて、せっかちな何人かは料理やお酒が待ちきれない様子でいる…

百合姫提督「えー、本当だったらなにか立派な演説をするべきなのかもしれないけれど、私がしなくてもきっと市ヶ谷のエライ人が年末の挨拶で私の分までしてくれるでしょうし……」そう言うとあちこちからくすくす笑いが漏れる……

百合姫提督「……とりあえず私から言いたいことがあるとすれば「みんな今年もよく頑張ってくれました」ということです」

百合姫提督「特に今年は夏の間「交換プログラム」で私が欧州に長期派遣されていた中で留守を預かってよくやってくれて……おかげで無事にプログラムも終え、こうしてみんなと一緒にいることができます。本当に感謝しています」

百合姫提督「……それでは、本年もお疲れさまでした。乾杯」

一同「「乾杯!」」

…席に着くとビールを数口すすって、それから「いただきます」をして箸をとる……卓の中央にはすき焼き鍋、そしてその隣には綺麗に盛り付けられた牛肉と野菜の皿が鎮座していて、その周囲を取り囲むように箸休めの小鉢や一品料理が並んでいる…

足柄「さ、まずは一献」

百合姫提督「ありがとう」

足柄「ところで年末年始はどうするの?」

百合姫提督「三が日は実家に帰って、あとは香取神社か鹿島神宮に参詣しようかと思っているわ」

(※香取神社・鹿島神宮…どちらも武を司る神として知られる)

足柄「いいわね……そろそろ煮えたみたいだし、取ってあげるわ」きれいにサシの入った霜降りの牛肉がほどよく煮えた頃合いを見計らい、菜箸で器によそった……

百合姫提督「ありがとう」

足柄「いいのよ。それに早くしないとあいつらに全部食べられちゃうし……」ちらりと視界を右の方に向けた……

青葉「……うーん、美味しい♪」

夕凪「これは私の分ですからね?」

天龍「分かってるよ、そんなけちくさい真似なんてしないって」

衣笠「そうそう、夕凪の分まで盗らないから」

青葉「きっと信用されていないんですね」

加古「あはははっ♪」

衣笠「もう、全然おかしくないし……!」

足柄「……ほらご覧なさい。あいつらさっきからバクバク口に放り込んでるわよ」

百合姫提督「大丈夫、足りなくなったら追加で頼めばいいから。そう思ってカードも入れてきたし」

足柄「提督も向こう見ずね……冬の賞与が全部消し飛ぶわよ?」

百合姫提督「いいの、せっかくの忘年会だもの……それより足柄も食べないと、お肉が煮えすぎて固くなっちゃうわ」

足柄「おっと、それもそうね」溶き卵に浸けて柔らかい牛肉を口に運ぶ……

足柄「はふ、ふぁ……良い肉ね、これ……」

百合姫提督「ね、さすがに銘柄牛だけあって……葱もそろそろ頃合いだけれど、食べる?」

足柄「ええ、もらうわ……熱っ! この葱のやつ「鉄砲」だったわ」

(※鉄砲…煮えた葱の外側が柔らかく、中がまだしっかりしている状態。噛むと中の部分が飛び出してくる事から。さらに煮えて箸で掴むとたわむようになると「への字」と呼ばれる)

百合姫提督「大丈夫?」

足柄「平気よ、葱鉄砲の一つや二つ……あー、美味しい♪」

百合姫提督「それじゃあ私はちょっとみんなとお話してくるから」

足柄「ええ、でも見計らってちゃんと食べなきゃだめよ?」

百合姫提督「そうするわ♪」




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