イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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941: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/09/01(日) 01:37:42.11 ID:AcSYKBjk0
…大晦日…

百合姫提督「白菜は切っておいたわ」

母「ありがとう」

父「食器も並べておいたよ」

母「ありがとう、家事の出来る家族がいると楽が出来て助かるわ」

父「威張って「できる」って言うほどじゃないけどね。それじゃあ父さんたちを呼んでくるよ」

母「お願いするわ」

…普段は敷地内の二軒の家でそれぞれ別に暮している百合姫提督の一家と父親の両親……とはいえ年末年始のすき焼きやおせちを別に用意するのも大変と、この時ばかりは一緒のテーブルを囲んでいる…

百合姫提督「……いい匂い」

母「そうでしょう、あなたが帰ってくるっていうからお父さんも奮発していいお肉を買っていたもの……ほら」

…すき焼き鍋で軽く煮た立たせている割り下が甘塩っぱい匂いを漂わせ、バットや皿にはみずみずしい白菜や人参、しらたきに焼き豆腐、それに斜め切りにした長ねぎが盛り上げてある……百合姫提督の母が包みを開けると、サシの入った牛肉がきちんと折り重ねて入っている…

百合姫提督「こんなにたくさん買ってきたの?」

母「いいのよ、余っても明日以降に食べればいいもの」

父「……いま伝えてきたよ。もう来るってさ」

母「それじゃあそろそろ始める?」

父「そうだね、じゃあカセットコンロを持って行くよ」

…食卓の中央に堂々と鎮座するすき焼き鍋……カセットコンロの青い火が軽く揺らめくたびに鍋からいい香りの湯気が立ちのぼる……と、そこに祖父と祖母が入って来た…

祖父「おお、いい匂いだな!」

祖母「本当にね……いつもご苦労さま。本当なら私たちは別で済ませてしまえばいいのに、わざわざ呼んでくれて」

母「いいえ、せっかくの年末ですから」

祖母「そう言ってくれるからいつも甘えちゃって、申し訳ないわねぇ」

母「まあまあ、それよりどうぞ座ってください……さ、深雪も座って」

祖父「それから乾杯するんだから何か飲みなさい。ジュースがいいか、それともサイダーか!」

百合姫提督「うん、ありがとう……それじゃあジュースにします」いつまでたっても子供扱いの祖父に苦笑いをしながら、リンゴジュースを注いでもらう……

父「みんな準備はいいね? それじゃあ今年もお疲れさま、乾杯♪」

百合姫提督「はい、乾杯」

…百合野家の慣例でテレビは昭和歌謡や演歌の年末特番にチャンネルが合わせてあり、百合姫提督は知らない昭和世代の……しかし今どきのポップスよりもずっとよく知っている名曲の数々が流れている……時折お気に入りの曲が流れると少し視線を向けて一緒に口ずさんでみたり耳を傾けたりしながら、すき焼きに箸を付ける…

祖父「ほら、もっと食べなさい!」

百合姫提督「ありがとう、でもよそったのがまだ残っているから」

祖父「そうか? とにかくしっかり食べるんだぞ!」

百合姫提督「はい」

…家族水入らずの気楽な食卓で柔らかい牛肉に舌鼓を打ちながらも、カセットコンロの熱と暖房で少し暑いくらいの室内に火照りを覚えた百合姫提督……祖父母が寒くない程度に後ろの窓を開けると、すうっと外の寒気が入り込んでくる……冷たいが爽やかな冬の空気が首筋をくすぐると、少しほっとした…

百合姫提督「ふう……」

母「お肉がもう一切れ煮えたけれど、食べる? 白菜もそろそろ食べ頃だけれど」

百合姫提督「ありがとう、それじゃあいただきます」

父「いい肉だろう? 本当はもっとずっと高いんだけれど、少し色が悪いのと、形に不揃いな部分があるからって割安にしてもらったんだ」

百合姫提督「味は全然変わらないのに」

父「でもご贈答用にはならないからね……おかげでいいお肉が食べられるわけだ」

母「そうね」

百合姫提督「ええ……でもいいお肉じゃなくても、うちで食べるすき焼きが一番美味しい」

母「良かったわ♪」

父「父さんたちはそんなに食べないし、遠慮しないで好きなだけ食べていいからね」

………


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