イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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940: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/08/27(火) 01:39:38.33 ID:OwjY5jBW0
…翌日…

百合姫提督「……良い気持ち」

母「横須賀では本当に忙しかったみたいね。少しやせたように見えるわ」

百合姫提督「そんなことはないと思うけれど……昨日お風呂の後で体重計に乗ったけれど、ほとんど変わっていなかったから」

母「そう? でも顔が細くなった気がするし、お祖父ちゃんから「もっと食べなさい」って言われるわね」

百合姫提督「もう言われたわ。相変わらず……」

母「ふふ「天ぷらかウナギか、それともすき焼きがいいか」……って?」

百合姫提督「ええ」

…母親と差し向かいでこたつに入り、浴衣にどてらのくつろぎ姿でぼーっとしている百合姫提督……テーブルの天板代わりになっているこたつ板には読みさしの文庫本がしおりを挟んで置いてあり、手の届く位置にはテレビのリモコンや読み終えた新聞、頂き物のクッキーが並べてある……と、居間の壁を飾る数枚の額縁の中に、目新しいものがあることに気がついた…

百合姫提督「あそこにあんな額縁あったかしら……」

母「ああ、あれね♪ 夏の時にあなたがイタリアから絵はがきを送ってくれたでしょう? 素敵だったから飾ってあるの」

…夏の「戦術交換プログラム」でイタリア海軍の公報施設を訪れた際にPX(酒保)で見かけた絵はがきを買い求め、実家に宛てて投函しておいた百合姫提督……絵はがきには紺碧の海に白いを広げ帆走する練習帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ」の美しい姿が収められていて、百合姫提督が子供の頃にとった賞状や記念写真、それに風景画の間で明るい地中海の息吹を感じさせる…

百合姫提督「気に入ってくれて良かったわ。練習航海中で実物を見られなかったのは残念だったけれど」

母「まぁ、そのうちに見る機会も出来るわよ」

百合姫提督「そうね」

母「ええ。さぁ、そろそろお煮しめの準備に取りかからないと……!」

百合姫提督「私も手伝うわ」

母「いいのよ、私がやるから座ってなさい♪」

百合姫提督「でもお父さんはお祖父ちゃんのところで大掃除、お母さんはおせちの準備をしているのに私だけ座っているのも……」

母「分かったわ、それならちょっとだけ手伝ってもらおうかしら」

百合姫提督「ええ」

…台所…

母「深雪、お醤油を取ってくれる?」

百合姫提督「はい」

母「ん……このくらいかしら」

百合姫提督「ええ、もうちょっとみりんをいれても良いかもしれないけれど……」

母「じゃあそうしましょうか」

…母娘水入らずで台所に立ち、お煮しめの味付けを決めている二人……百合姫提督は浴衣のままだが袖口が邪魔にならないようたすき掛けにして、小皿で味を見ている…

母「それにしてもますます手際が良くなったわね」

百合姫提督「鎮守府にいると間宮とか伊良湖みたいな料理上手が多いし、手伝うことも結構あって……」

母「結構なことじゃない♪」

百合姫提督「ええ。何しろぬか漬けの漬け方からフランス料理までみっちり仕込まれたから」

母「それじゃあそのうちに作ってもらおうかしら」

百合姫提督「そうね、三が日が過ぎておせちに飽きたらその時にでも」

母「期待しているわね……いけないいけない、もう少し火を落とさないと……」落とし蓋をした雪平鍋ではコトコトと音を立ててお煮しめが煮えている……

百合姫提督「わ、美味しそう」

母「もう……あなたくらいの年頃なら、お煮しめなんかよりもまだまだすき焼きでしょうに♪」

百合姫提督「そうかもしれないけれど、すき焼きは鎮守府でもやったから……まだお肉の脂が残っているような気がするもの」

母「まぁまぁ。同じすき焼きでも、うちで年越し番組を見ながら食べるすき焼きは格別よ?」

百合姫提督「ええ。毎年の恒例行事だし、楽しみにしているわ」

………

…


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