イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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969: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/03/29(土) 01:21:47.39 ID:kzYhyWdq0
…夕食時…

エクレール母「ほら、もっと食べないと……そんなにやせこけて、あたしゃ心配になっちまうよ」

エクレール提督「適正体重を維持しているだけですわ」

エクレール父「そう言わずにもうちょっと食べた方が良いぞ、せっかくの手料理なんだしな」

エクレール提督「……それはそうですわね」

…プロヴァンスとはいえ寒い冬の夜、暖炉が心地よく室内を暖める中で食卓を囲むエクレール家……時間をかけてゆっくり煮込んだ野ウサギの煮物やアイオリソースをたっぷりつけた蒸し野菜など、素朴な材料にもかかわらずハーブや香草で驚くほどの味わい深さがある…

エクレール提督「たくさんいただきましたわ……ごちそうさま」

エクレール母「久しぶりの家の味だったろう?」

エクレール提督「ええ、懐かしい味でしたわ」

エクレール父「良かったな……さて、おれはアブサン(※ニガヨモギのリキュール)でも飲るとするか」独特の匂いがする煙草「ジターヌ(ジタン)」に火を付けると、小さなグラスに綺麗な黄緑色のリキュールを注いだ……

エクレール提督「お父様は相変わらずですわね」

エクレール父「こいつはプロヴァンス人の魂だからな」自慢げに鼻をうごめかし、小さいグラスをつまみ上げるようにして口元に持っていくとちびちびと舐めるようにすすった……

エクレール提督「わたくしはコニャックにしておきますわ」

エクレール父「ああ、好きな物を飲めばいいさ……おっかあ、マリーにグラスを出してやれ」

エクレール母「はいはい」

エクレール提督「お母さまは座っていて下さいまし、自分でできますから」

エクレール母「そうかい?」

エクレール提督「ええ……よかったらお母さまも少し召し上がる?」

エクレール「そうだねぇ、じゃああたしも一杯だけもらおうかしらね」

エクレール提督「分かりましたわ」

………

…数日後…

エクレール提督「それでは、わたくしは鎮守府に戻りますわ……ごきげんよう」

エクレール父「達者でな」

エクレール母「体調には気をつけるんだよ? たまには手紙をちょうだいね?」

エクレール提督「ええ、分かっておりますわ。それでは」

…普段はパリジェンヌを気取っているエクレール提督も庭先で家族に見送られて車に乗り込むとなると、古めかしい家や変わり映えのしない畑、なだらかなプロヴァンスの野山に離れがたいものを感じる……そうしたノスタルジーを振りきるように制帽をかぶり直すとDS19に乗り込み、停車時には姿勢を低くするハイドロニューマチック(油圧制御)の車高調整装置を走行状態に入れてアクセルを踏んだ…

エクレール提督「お父様もお母様も、いつの間にかシワと白髪が増えておりましたわね……」バックミラー越しに小さくなる両親の姿をちらりと眺めると、胸に感慨深いものが流れた……

エクレール提督「……家族を心配させないためにも、わたくしはしっかりしないといけませんわね」

エクレール提督「それにしてもこんなにたくさんのお土産を、まったく……」口が酸っぱくなるほど「いらない」と言っても、あれこれと持たせてくる親心に苦笑いを浮かべる……

エクレール提督「まあ、鎮守府の娘たちに分ければ良いだけのことですわね」

………



エクレール提督「……ともあれ、貴女たちが喜んでくれて何よりですわ」

リシュリュー「それはもう、コマンダン(司令官)のご実家からいただいたさまざまなものをむげに扱うようなことはいたしません」

エクレール提督「皮肉で言っておりますの?」

リシュリュー「ノン、とんでもございません……気取らないプロヴァンスの素朴なお土産、実に結構なものでございます」

エクレール提督「……素直に賛辞として受け取っておくことにいたしますわ」

リシュリュー「ウィ、それがよろしいかと」

エクレール提督「ええ……では、そろそろガレット・デ・ロワを切り分けに参りましょうか。ジャンヌたちも待ちくたびれていることでしょうし」

リシュリュー「お供いたします」


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