イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」
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979: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/07/17(木) 02:27:51.95 ID:NSTzDsPM0
バンデ・ネーレ「ようやく終わったね」

提督「貴女たちが手伝ってくれたおかげで思っていたよりずっと早く終わったわ……グラツィエ・モルト(とってもありがとう)」

アッテンドーロ「ノン・ファ・ニェンテ(いいってことよ)」

アオスタ「すべきことをしただけですから」

バンデ・ネーレ「そうだよ、ボクたちのためでもあるしね……それよりシャワーでも浴びてさっぱりしようよ。硝煙のせいか肌がムズムズというかちくちくするし」

アッテンドーロ「言えてるわ」

提督「そうね、それじゃあお風呂にでも行きましょうか」

…大浴場…

バンデ・ネーレ「こんなにぜいたくな大浴場があると日に何度でも入りたくなるね」

アオスタ「メイクをし直さないといけないからそこまでは入れないけれど……気持ちは分かるわ」

アッテンドーロ「私なんてせいぜい乳液を塗っただけで過ごしちゃうけれどね」

アオスタ「ムツィオ、貴女は身だしなみにもう少し気を使ったらどうなの?」

アッテンドーロ「別に汚れた服を着続けているわけじゃあるまいし、そう噛みつかないでよ……そうでしょ、提督?」

提督「そうね、見苦しくない程度に整えていてくれればそれで構わないわ。私だって人のことを言えた義理じゃないし……」提督自身も職務時間を過ぎると制服を脱ぎ、ゆったりした私服姿で過ごしている事が多いので苦笑いしながら肯定した……

アオスタ「やれやれですね」

提督「まぁまぁ……当直や出撃の時にしっかりしていてくれればそれでいいわ」

…着任直後は裸で入浴することに少し抵抗感があったが、今ではすっかり慣れっこになった提督はためらうこともなく黒の下着を脱ぐと脱衣カゴに放り込み、大浴場の扉を開けた…

提督「すんすん……どうやら落ちてくれたみたいね」別に硝煙の匂いは嫌いではなかったが、のんびりした気分の時に嗅いでいたいほど好きというわけでもないので石けんでよく洗い、改めて腕を鼻先に寄せて残り香がないかどうか嗅いでみる……

アッテンドーロ「それにしても提督は射撃が上手よね。略綬にこそ射撃記章はないけれど、いい線いってると思うわ」

提督「射撃そのものはともかく飛んだり走ったりがダメだったから……教官にもしょっちゅう「もったいない」って言われたわ」

アッテンドーロ「教官って言うと、基地祭の時に来た……メッセ兵曹長って言ったわよね」

提督「ええ。口は悪いし当然のようにびしばしやられたけれど、たとえ落ちこぼれても見捨てずに付き合ってくれる立派な教官だったわ……ふふっ♪」

バンデ・ネーレ「何かおかしいことでもあったかい?」

提督「いえ、ね……あの人のおかげで私たちは海軍士官学校なのか海兵連隊なのか分からないような訓練をいくどもやらされたけれど、その中の一つを思い出したものだから」

アオスタ「笑っておられるということはいい思い出なのですか?」

提督「まぁ、今となってはね……せっかくだし話してあげるわ」

…士官学校時代…

メッセ教官「……さて候補生諸君、いよいよこの士官学校で過ごす日々も残りわずかとなってきたわけだ……入って来たばかりの頃は『また面倒なヒヨッコどもが来た』と心底うんざりしていたが、少しは面倒のかからないヒヨッコになってくれたようで、教官としてはまことに喜ばしい」短髪に迷彩服姿の兵曹長がニヤリと笑うと、整列している訓練生たちからお義理の笑い声がまばらに聞こえた……

メッセ教官「これまで私を始め教官たちはさまざまな事をお前たちに教えてきた。恐らくその半分は卒業する際に放り投げる軍帽と一緒に忘れ去られてしまう運命にあるだろうが、そうだとしたら二倍教え込むだけのことだ」

メッセ教官「とはいえ、必要なことがらを二倍教えるというのはこちらにとっても手間がかかる。したがって我々教官としては候補生諸君が貴重な教訓を忘れないようにするためにはどうすればいいか日々考えている。人間、失敗した時に得られた教訓のほうが長く覚えていられるということで、我々は君たちに腕立てをやらせてみたり便所掃除をさせてみたりしてきたわけだ」

メッセ教官「ま、その心配ももうしなくて済みそうだ。すでに知っていることと思うが、君たちはあと一ヶ月もしないうちに荷物をまとめ、家族に晴れ姿を見せることになる……だがその前に、私からの卒業祝いとしてちょっとした小旅行をプレゼントしようと思う♪」何やら悪だくみをしているような満面の笑みを浮かべ、候補生たちがざわめいた……

メッセ教官「候補生諸君! 君たちには明日から三日間に渡って無人島でのサバイバル訓練を行ってもらう! 武運つたなく艦(フネ)を捨てねばならなくなった、あるいは波にでもさらわれて無人島に漂着した場合、救援が到着するまでの数日間を生き残る必要がある」ざわめき出す候補生たち……

メッセ教官「とはいえここは特殊部隊ではないから、君たちを素っ裸で放り出すような事はしない。救命艇に搭載されているであろう基本的な道具一式と、一日分の携行糧食、さらに途中でギブアップしたい場合、あるいは重傷を負ったりした場合に備えて班ごとに無線機も持たせる至れり尽くせりのサービスぶりだ」

メッセ教官「……というわけで候補生諸君、無人島生活を楽しんでくれ!」

…翌日・無人島…

カサルディ提督「まさか、本当に無人島へ連れてこられるとはね……」

シモネッタ提督「せっかくなんだから日焼け止めも持ってくればよかったわね?」雑木の生えた小島の浜辺にいながら、ヴェネツィアの一流ホテルにいるのと変わらないような余裕を見せるシモネッタ提督……

提督「とりあえず荷物を改めてみるとしましょうか」

ベルガミーニ提督「そうだね、それがいいかも」

…それぞれ班ごとにゴムボートに乗せられ、バラバラな地点で海浜に降ろされた候補生たち……各班は四人一組で、浜辺には弾薬なしのフランキ短機関銃が一挺、テントなしのサバイバルキット一揃い、非常時に備えて渡された無線機と信号用ピストルなどが置かれている…

提督「……幸いお天気もいいし、危険な動物もいるわけじゃないから少しは安心ね」

カサルディ提督「食料が一日分なのはちょい厳しめだけど、水源もあるって話だし、まずはそこを確保していこうよ……どうかな、エレオノーラ?」

シモネッタ提督「そうね。まずは水と野営地の確保に努めることにしましょう……体調の異変があったらすぐ報告してね」


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