15:名無しNIPPER
2018/01/02(火) 15:15:59.82 ID:5pH9wHSz0
「あの……どうかしましたか?」
流石に門の前で逡巡しつつ歩いていたのを不審がられたのか、後ろから低い男の声がした。
「あ、いえ……ここに用事が……」
振り向いた私はまたもや息を呑んだ。目の前には自分よりふた回りは大きいスーツの男。目つきは鋭く、ドラマや映画で出てくる極の道の住人のようにしか見えなかったのである。
できることなら、私は逃げ出したかった。足には自信がある。いくらガタイが大きいからと言っても、人通りの多い道までは近いので、追いつかれても助けは呼べる。逃げる手段も構想も頭の中では完璧だ。しかし、今まで味わって来た苦痛や怖さとは異質な恐怖。まだ空には太陽があるというのに、闇のような冷たさが、体を動かすことを拒んでしまい、動くことを許さなかった。 狼狽える私の姿を横目に、男はポケットから携帯を取り出し、誰かに電話をかけ始めた。
「もしもし、武内です。あの、〇〇さん。恐らくですが、お話ししていた彼女がいらしたようです」
彼の口から放たれたのは、まゆちゃんのメールで言ってたプロデューサーさんの名前だった。
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