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2018/01/02(火) 04:23:37.92 ID:5pH9wHSz0
「やーい乙倉のデカブツ!」
クラスメイトの男子から発せられる揶揄の声を下らないと捉えられれば、どれほど苦しくないのだろう。だが、幼い私ができたことは、精々涙を堪え、下唇を噛んで漏れる嗚咽を抑え込もうとすることだけだった。
「ゆーきって名前も男っぽいよな!」
「服もズボンばっかだし!」
別のクラスメイトからも、私を蔑む声が聞こえる。私は、自身が可愛いと思う服を着ているだけなのに。これでも、私服には妥協をした方だ。日頃からズボンを履くことが多かった私には、「乙倉悠貴の私服=ズボン」のイメージができてしまったらしく、スカートに足を通せば、それだけでからかわれたことすらあったのだ。その日から、私はスカートを履くことが億劫になってしまった。
「ゆーきの男女!」
1番言われ、1番心に刺さる言葉を、躊躇うことなく、なんなら笑い混じりで彼らは言っている。彼らへの苛立ちは無いわけではない。だが、それよりも、言い返すこともできない自分自身にこびりついた弱さの方に嫌悪が向くばかりだったーーー。
いつの日か、明日が来るのが怖くなった私は夜眠ることができなくたっていた。あのように言われたのは小学生までの話だと言うのに。中学生に入って数ヶ月。制服のスカートに足を通す度、彼らの声が頭の中に響いてならない。男子会話している姿を見ているだけで、私の陰口(主にスカート姿)が叩かれているような気がしてしまう。
そこで、私は陸上部に入った。元々運動としてジョギングをしていたこともあり、走ることは好きだった。走っている時は全てを置き去りにできる気がしたのだ。それから、走ることで体力を燃焼できた日は、決まって寝付けるようになった。その事実が、走ると言う行為の中にある孤独感と、その感覚に潜む快感の虜となってしまった。
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