【艦これ】どうなるかなんて知ったことではない【あんこ】
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88:名無しNIPPER[saga]
2018/01/05(金) 23:06:28.54 ID:O5H6uxrvO

「ねぇ、あなた」

「……ん? 」

「私のことは見てくれなくてもいいけれど、せめてあの子たちのことは見てあげて」

靄のかかったような世界だ。まぁ、あれ以来いつもこうなのだが。
左隣にいて、俺の心に寄り添って、思いがけず愛してくれるその暖かさは、しかし受け入れ難い。

「あなたが可哀想だから結婚したんじゃないの。
確かにあなたを愛しているから結婚したわけでもないけれど、でも今は何より想っているの」

何度これを聞いただろう。
何度この言葉に頷いただろう。
何度この女に謝りたいと思っただろう。
そして何度彼女に、会いたいと願っただろう。
底抜けに朗らかで、
いつだって伝えた愛の倍以上を返してくれる金糸のお姫様。

彼女だけじゃない。

常識外れの女と非常識な程流されやすい上官の戯言に耐えて、
それでもなお前を見て楽しいことが正義にゃ、なんて笑っていた少女。

出会ってすぐに打ち解けて、
時に厳しく時に荒々しく、
そして時々には甘い顔で癒してくれた女。

「…………なぁ」

「な、何? 」

抱き着く腕に力が籠る。
拍子に当たる柔らかな肉の熱さが何かを思い出させて、消えていった。
そこにあると錯覚したのは、きっと彼女にも、妻にも失礼だから、それでいい。

「…………何で、俺は死ねないんだろうな」

「…………あなた」

「何で、助けてやれなかったんだろう。あいつも、お前も、子供たちも」

「…………」

「…………お前の為なら死さえ怖くなかったのに。もう、いないじゃないか、お前」

賭けることのできない賭け事。
まるでそれは永遠に続く煉獄だ。

それだけが残ったものだというのがいっそ喜劇。
彼女が俺に遺したものはたったのそれだけ。

逃げることを続けて堕ちていく、堕としていく。引き摺り堕としている。

「はは…………信じられないかもしれないけど、本当に感謝しているんだ、君には」

真心と愛に感謝を。
返せぬ程の献身にはせめて言葉を、捧げよう。

「知っていますよ。…………ええ、感謝だけですものね。愛には到底届かない」

「……………………」





ーーーーお前のヨスガが残るこの世で、今日も俺は誰かを不幸にしているよ、Iowa



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