170:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/01/10(水) 03:00:40.66 ID:L/R1QGVu0
狗頭の彫像。
視線を合わせると自分が犬として生きる義務があると思い込んでしまうと言われているが…
まさにツバキはその術中にはまってしまったのだ。
「わん、わんわん。(ミルキィ、クチナ!なんだ、どうなっている!)」
「しっかりしてくださいツバキさん!ちゃんと人間の言葉をしゃべって!」
「わん!わん!(…ああ、ダメだ、言葉が、言葉がでてこない!人間の、人間の言葉が…)」
ミルキィとクチナの呼びかけも空しく、ツバキは四つん這いで犬のように吠え続ける。
「グルルルルウ…」
狗頭の彫像が勝ち誇ったような唸り声をあげる。それは犬の真似事をし続けなければならないツバキに対する嘲りのようにも見えた。
「う〜、わんっ、わんっ!(貴様か…!貴様のせいで私はっ…!)」
しかし次の瞬間、狗頭の彫像はさっと踵を返し、通路の奥の方へ向かって駆け出した。
「!?わうううっ!!わんっ!わんっ!(ま、待てっ!私をもとにもどせぇぇぇ!!)」
ツバキは走り去っていく狗頭の彫像の後を追いかけ始めた。無論、四つん這いの犬の姿勢のままで。
「!?ええっ!?ちょ、ちょっと待ってよリーダー!そんな状態で単独行動とか!」
「ツバキさん戻ってきて! ツバキさぁぁぁぁん!!」
通路の奥に消えていったツバキに向かって、必死に呼びかけ続けるミルキィとクチナ。
しかし返ってきたのは―
「わぉぉぉーーーーーーん」
もはや本物の犬とも聞き分けることも不可能な、遠吠えだけだった。
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