218:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/01/12(金) 11:12:56.67 ID:nNYMAtto0
「ああ…そんな…ツバキ…」
ツバキの受けた仕打ちを聞いて、クチナが悲痛な声を出した。
「…いいから早くリーダーを放せ…」
ミルキィの声には殺意が滲む。しかし『男』は気圧される様子もなくおどけてみせる。
「おお、こわいこわい! そんな目で見られたら興奮しちゃうじゃないですか。ささ、ちゃんとあなた方のリーダーはお返ししますよ」
そういうと男は腕の中からツバキの身体を空中に放り出す。
「っ…リーダー!」
落ちてきたツバキの身体を受け止めるツバキ。イカのような臭いのする液体にまみれてはいるが、命に別状はないようだった。
「ああ、そうそう。これは良いモノを見せていただいたお礼です」
ツバキの身体に続いて、岩の塊のようなものが落下し、床にたたきつけられて砕け散った。
「これは…さっきの…犬ゴーレム!」
それは先ほどミルキィたちが戦闘の末に取り逃がした『狗頭の彫像』の頭部であった。
散らばった破片の混じって、透き通った水色の宝珠が転がっている。
「あんた、いったい何がしたいわけ…? まさかあんたがこのダンジョンの黒幕…」
「いやいやいや!私はそんな大物ではありませんよ」
男は笑ってかぶりを振る。
「私は淫魔インキュバス。時々は女性をつまみ食いしたりしますが戦いは苦手でしてねぇ…腕っぷしの強い冒険者の皆さんは極力相手にしないことにしてるんですよ。でもまぁ…」
ミルキィの身体をいやらしい目つきで眺めながら、
「あなたのような強気かつムチっとしたどスケベボディなお嬢さんなどは…機会があれば是非とも戦ってみたいですねぇ。くんずほぐれずの肉弾戦をね…むふふふ」
「この場でフツーに戦ってぶちのめしてやっても構わないわよ…」
「ははは、ではおしゃべりもここまでにしておきましょうか。オープン・ザ・ワープホール!」
パチン、とインキュバスが指をならすと同時にミルキィたち周辺の空間が揺らぎ始める。
「こ、これは!?」
「リーダーさんを介抱してあげないといけないでしょう? ま、『お礼』のついでのようなものです。タワーの外へお送りしますよ」
捻じれた空間の向こうにタワーの外の景色が浮かび上がり、ミルキィたちはそちらへ吸い込まれていくような錯覚を覚えた。
「あまり人間に死なれてはこまるのでね…―-を…すワケには…」
インキュバスが何かを言っているような気がしたが、次第に声は遠ざかり…
―気が付くと、ミルキィたちはタワーダンジョンの入り口の前に佇んでいた。
「なんなのよ…いったい…」
狐につままれたような表情のミルキィ。
「…ミルキィさん、とりあえず宿に戻りましょう。あのモンスターが言ったように、ツバキさんを介抱しないと…」
―こうして、ギルド『プリティーうさちゃんズ』の第一日目の探索は終わりをつげたのだった。
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