314:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/01/17(水) 20:28:31.86 ID:fdgTiAn40
(う…うう…どうなっている…わたしは、研究室は…)
空間修復が完了し、崩壊がある程度おさまった研究室でアルストは目を覚ました。
どうやら衝撃で意識を失っていたらしい。
「はっ!?な、なによこれは!?」
圧縮され半分ほどの狭さになってしまった無残な研究室。
ぎっしりと貴重な魔法薬が並んだ薬棚はことごとく損壊し、無事な薬瓶など数えるほどしかない。
アルスト愛用の安楽椅子は倒れた薬棚に押しつぶされ、ただの木片に成り果てている。
しかし今の彼女の身には部屋の損失以上に驚愕すべき事態が起こっていた。
「な、なんなの…この手足に絡みついているモノは?」
植物のツタのような何かが自分の両手を頭の上で縛り付けて拘束している。
「う、うごけ、ない…」
両足も同様に縛られ、アルストはさながら吊るされた罪人のような姿を晒していた。
「この植物は…たしか地下に保管していた実験体…そうか…封印が…!
くそっ…あのモルモットども…よくもやってくれたわねぇぇ…!!」
たかが実験動物どもにこれほどまでの屈辱を受けることになるとは。
魔女の胸中が激しい憤怒の感情に満ちていく。
「!そ、そうよ!あいつらはどこに行ったの!?」
「イマハ オマエ ヒトリダ。アワレナ マジョメ」
突然、異質な声が聞こえた。
本来声を発することができない部分から無理やりしぼりだされるような、かすれた声。
抑揚のないたどたどしい声が。
「何者!?誰だか知らないけれど姿を見せなさい!!」
アルストの叫びに応えるように。
床からざわざわと幾本もの植物の茎が伸び、絡み合いながら人の形を成していく。
「これは、まさか…『アルラウネ』…」
人間の体液をすすり糧とする植物系モンスター、『アルラウネ』。
このモンスターもアルストが地下で保管していた実験体の一つであったのだが…
「アルラウネが言葉を話すだと…!」
「オマエノ ジッケンノ セイダ」
動物のそれとは違う『目』のようなものでアルストを見据えながら、アルラウネは言葉を続ける。
「ワタシ コトバ キコエル。
ワタシ コトバ ハナセル」
「は、ははは。これは興味深いわね。
想定していなかったアルラウネの突然変異体だわ」
研究者としての血が騒ぐのか、目の前に現れた『研究対象』に色めくアルスト。
だがそんなアルストに対し、アルラウネは。
「オマエ ワタシ イジクッタ。
バカニシナガラ イジクッタ」
瞳のない目に微かに感情のような輝きが灯る。
「クヤシイ。ダカラ ヤリカエス」
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