560:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/02/06(火) 18:48:17.91 ID:4C8nUuLY0
「はぁ。帰りてぇなぁ…」
迷宮を行くとある数人のパーティ。
そのうちの一人が面倒くさそうに呟いた。
「副リーダー、しっかりしてくださいよ。いい加減上層へ上らなくちゃまたボスにどやされますよ」
「んなこと言ったって、やる気出ねぇもんは出ねぇんだよ…」
彼らはかつてミルキィが最初に港町へとやってきたときに遭遇した悪徳ギルドのメンバーだ。
覇気のない生返事を口にするのは副リーダーの『アッシュ』。
「まぁだこの間のこと根に持ってんですかい。まぁわかりますけど…」
この間のことというのは、勿論ギルド『プリうさ』の面々にミルキィを横取りされたことだ。
「ちっ…」
アッシュは忌々し気に舌打ちする。
プリうさとのいざこざから数日。最近の彼はいつもこんな調子である。
部下たちはやれやれと肩をすくめるばかりだ。
(あー…思い出しただけで腹立つ。あのツバキとかいうクソアマ…)
あの正義の味方ぶった女侍になんとかして一泡ふかせてやりたい。
そう思っていた矢先であった。
迷宮の通路の先に、虚ろな表情をしてフラフラとおぼつかない足取りで歩くツバキの姿を見つけたのは。
(!? あの女だ!…って、なんだ。様子がおかしい…)
「あ、そうだ副リーダー!この動画見たらきっと元気が出ますよ。くノ一調教モノなんですけどね…」
「シッ!静かにしろ…噂をすりゃあなんとやらだ」
アッシュと部下たちは通路の影に隠れるとフラフラ歩くツバキの様子を伺った。
「あの女…この前の女リーダーじゃないですか?」
「しかし様子がおかしいっすね…心ここにあらず、って感じっすよ」
部下たちもツバキの尋常でない様子に首をかしげる。
アッシュはツバキの周囲に視線を巡らせたが、仲間が付いてきている様子はないようだ。
(他の仲間、特にあのシノビがいないならチャンスかもな)
にやりと唇の端を歪めるアッシュ。
「よし…やるぞお前ら」
「や、やるんですかい?」
「おう。雪辱を果たしてやる」
一同は覚悟を決めると通路の影から飛び出し、歩み続けるツバキの眼前に立ちふさがった。
「よう、こんなところで会えるとは奇遇だな。正義のギルドリーダーさまよ?」
「…?」
ぼうっとした表情のまま、視線を男たちのほうへと向けるツバキ。
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