741:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/03/10(土) 07:41:13.40 ID:R/EdiaWy0
「―それにしても」
迷宮を歩きながら、ウェルが語り掛ける。
「仲間たちがピンチだから秘められた力が解き放たれました―って、どこの英雄譚よ。貴方そんなにあの連中が大切なの?」
「よくわからないけど たいせつだとおもう」
「『だと思う』?ふふん、ハッキリ言えないってことは自信ないんだ」
からかうように鼻で笑うウェル。
アリスは応えず、ただ後ろを歩くだけ。
「実は疎外感あるんじゃない?自分とあの人たちは違うんだー、みたいな」
「みんなとはちがうけど、そがいかんはないよ」
「どうだか。…というか、貴方本当に何者?」
「…」
ウェルはずっと気になっていた。
アリスが使っていた銀の鍵と、それにより開かれた虹色の光を放つ空間。
通常の魔術とは根源の違う別次元の魔力。
あのカギはただのマジックアイテムではない。人知を超えた神器クラスの代物だ。
「アレは人間が扱えるような力じゃない。でも貴方は使えた。覚えてはいなくてもね」
ウェルはそこまで言うと立ち止まり。アリスの方に向きなおった。
「はっきり聞くけど…貴方人間じゃないでしょう?」
しばし、2人は無言で見つめあう。
「―おとうさんは」
先に口を開いたのはアリスの方だった。
「…おとうさんは、『ホムンクルス』って いってた」
「ちょっ―」
ウェルは驚愕していた。
人造生命<ホムンクルス>。
それは偽りの生体組織に偽りの魂を宿らせて生み出す禁断の疑似生命体。
「ちょっとまってよ…そんなの人間じゃないどころか…生き物かどうかすら怪しいじゃない。あなた、まさか、ホントに!?」
ウェルが疑うのも無理はない。
ホムンクルスの創造は困難を極めると言われており、誕生してから数秒で死亡するというケースが殆どらしい…が。
「しかも、『さいこうけっさく』っていってた。えへん」
「えへん、て…貴方…胸張って言われても…」
目の前で薄い胸を張っている少女は、とてもそんな儚い存在のようには見えない。
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