817:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[saga]
2018/08/20(月) 23:56:44.37 ID:8w6POfzj0
やがてぽつりとアリスが―
「ごめんね。 わたし ウェルをまもれなかった」
「…ま、まだそんなこと気にしてたの? アレはしょうがないわ。相手が悪すぎたのよ」
責任を感じているのか、若干沈んだような口調のアリス。
だがそんなアリスの言葉をウェルはあっさりと『しょうがない』で片づけた。
「ジェネラルオークに目をつけられて生きて帰れただけでも奇跡なんだから。あれくらいで済んで良かったと思うしかない」
「よかった… ? 」
アリスはウェルの達観したかのような態度に少しもやもやしたものを感じた。
あんな凌辱を受けて『あれくらいで済んだ』と言えてしまうウェルはいったいこれまでどんな経験を積んできたのだろう。
無垢なアリスにはそれがウェルの人生観からくる知見であることにまだ気づくことはできなかった。
「まあ悔しいのは悔しいけどね…」
そう言って、ウェルはまた小さな笑みを浮かべる。
今度はわずかな苦みと…諦観を含んだような笑みを。
アリスは少し不安になった。
すぐ近くにいるはずのウェルがとても遠い場所にいるような気がする。
「ウェルは…これからどうするの?」
わずかな不安を抱きながら、アリスが問う。
「そうね…」
ウェルは窓から空を見上げた。
「どうしようかしら、ね…」
1002Res/624.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20