826:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/02/05(火) 19:18:09.57 ID:gwAK1vkF0
「正々堂々とやりたかったのかもしれないけど、話しかける前に攻撃すべきだったわねっ」
男が剣を構える寸前、ウェルは既に一匹の触手を路地裏の暗がりの中に走らせていた。
シャアッ、と蛇のように声を上げながら男に接近した触手は足元から胴を素早く這い上がり瞬時に首に巻き付いた。
「ォオっ!?ゴエぇっ!」
巻き付いた触手は喉元に食い込み、男の気道を締め上げていく。
「ぐ…がへっ…」
抵抗する間もなく、男は泡を吹いて気を失った。
(ふぅ…今はこれが限界か)
普段なら首の骨をへし折るくらいはできるはずが、今は疲労が残っているせいか窒息させるくらいが精一杯。
(一匹見かけたら他にまだ10匹いる…なんて言うわよね。他の賞金稼ぎに嗅ぎつけられないうちに移動しなきゃ)
ウェルは意識を失った男を残してその場を立ち去ろうとした。
しかし―
「あら。おそかった…かしら」
ウェルの前には既に新たな人影が立ちはだかっていた。
その人影―銀髪の少女は、透き通るような瞳でこちらを見据えている。
今度はウェルもよく見知った顔だ。
「…来ちゃったのねアリス」
「 ウェル…! 」
人造生命の少女アリス。
人と淫魔の混血児ウェル。
『半端モノ』の2人が静かに対峙する。
―決着の時が来た。
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