832:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/02/05(火) 20:20:53.07 ID:gwAK1vkF0
結局。
毒使いのウェルは賞金稼ぎの追手から逃げおおせることに成功したらしい。
眠りこけたアリスを賞金稼ぎの集団に向かって触手の力で投げつけ、ひるんだ隙に煙幕や薬液などを振りまいて混乱している間に姿を眩ましたのだとか。
事が終わり、ふらふらと宿に戻ってきたアリスをプリうさの一同は暖かく迎え入れた。
アリスは少し落ち着いたあとリーダーであるツバキに、ウェルとの間に何があったのかゆっくりと話し始めた。
「―リーダーツバキ。 ごめんなさい。わたしは…」
「謝ることなど何もない。お前は彼女と友達でいたかった。ただそれだけじゃないか」
「で、でも」
ぽろぽろとアリスの双眸から大粒の涙が零れ落ちる。
「わ、わたし、ウェルをまもることいがい、どうでもよくなってた…ウェルがたいせつで、い、いっしょにいたかったけど…でも、プリうさのみんなだって、たいせつな はずなのに」
「どんな未来を選ぼうと、誰かを選ぼうと、それはお前の自由だ。けどこれだけは言える。例えお前が本当にウェルの処に行っていたとしても…」
アリスをツバキがそっと抱きしめる。
「お前は私が認めた『プリティーうさちゃんズ』の一員だ。それだけは決して変わらん。絶対にな」
「うっ、ぅうぅっ…うわっ、うわぁぁぁん…うわぁぁーーーん…」
力強く暖かい腕に包まれながらアリスは泣きじゃくった。ぐしゃぐしゃの感情の赴くままに。
この日以来、凄腕の奴隷調教師『毒使いのウェル』は裏の世界から忽然と姿を消した。
彼女のその後については、野垂れ死んだとか調教の被害者の家族からの報復を受けたとか、謎の隠れ家に身を隠して新たな仕事の準備を始めているとか様々な憶測が飛び交っているがどれも信憑性に欠ける情報ばかりである。
『毒使いのウェル』の行方は杳として知れない。
今はまだ―
毒使いのウェル編 了
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