904:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/02/08(金) 21:25:38.45 ID:lT4NJ2Dz0
「しょ…勝負あった、だと…? まだだ!私はまだ戦えるぞ!」
ダメージから回復したのか、立ち上がったツバキが太刀を構える。
しかしツバキシャドーは…
『そうだ。お前は戦える。だから太刀を折られた時点で…私はもうお前に勝てない』
「な、なんだと?」
「えっ…勝負あり、ってまさか…『どうせ負けるからおしまい』って、そういうこと…?」
まさかの敗北宣言にツバキもクチナも狐につままれたような顔をしている。
『そういうことだ。お前たちは私に勝利した。だからお前たちにタワーの第二階層へ至る権利を受け渡そう』
そう言ってツバキシャドーは床に転がる魔力球を拾い上げる。
その魔力球の色は紫色から黄色へと変化していた。
『この魔力球があれば第二階層へ移動することができる。受け取るがいい』
放り投げられて宙を舞った黄色い魔力球をツバキが受けとめる。
『第三階層へ移動するなら引き続きその魔力球を使って、第二階層の魔物を倒し魔力を蓄積していけばいい。私が言えるのはそこまでだ』
そこまで言うと、ツバキシャドーの姿が少しづつ闇に溶けるように消えていく。
どうやら本当に負けを認めたらしい。
「む…むう、少し納得がいかんが…だが勝ちは勝ちか。ミルキィ、クチナ、お前たちは大丈夫か…」
「つ、ツバキさん!大変です、ミルキィが!」
困惑したクチナの叫びがツバキの耳を打つ。
何事かと倒れたミルキィの方を見れば、なんとミルキィの身体が魔法陣の中へと沈んでいくではないか。
まるで底なし沼に沈むかのように。
「な、なんだと!!おいニセモノ!これはどういうことだ!負けを認めたのではなかったのか!?」
『ふむ、どうやらどこかに転移するようだな』
ツバキシャドーはあっさりと言い放った。
『残念だがそれは私の意思ではない。その娘、なかなかの潜在能力を秘めているようだからな…魔法陣が反応して、誤作動を起こしているのかもしれん』
「そんなっ!?」。
(魔法陣が誤作動するほどの…潜在能力? まさかあれだけ強力な魔法剣を自在に操れるのも…)
いやそんな推察などどうでもいい。今はミルキィを救い出さなければ。
「起きて、ミルキィ!起きてそこから抜け出して!!」
しかしミルキィは気を失ってしまったまま、ただずぶずぶと魔法陣へと沈んでいく。
「き、貴様!この魔法陣の守護者なんだろう!なんとかしてみせろ!」
『そこまで面倒は見切れない。だが魔法陣の性質上、この塔の外や異次元空間に放り出されることはないだろう』
「お、おい、待て!消えるな!せめてミルキィがどこに飛ばされるのか教えろ!」
『さらばだ。神殺しの末裔よ。お前の望み、果たしてみせるがいい』
ツバキの呼びかけも空しく、ツバキシャドーはついにその姿を消してしまった。
「くそっ…なにが『勝ちは勝ち』だ…!ミルキィ…ミルキィーーー!!!!」
ツバキの悲壮な叫びが魔法陣の広間に轟いた…
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