【艦これ】悪鬼が出るか大蛇が出るか【あんこ】
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110:名無しNIPPER[saga]
2018/02/16(金) 23:37:45.80 ID:WhUJKF2CO
「これが、私たちの、家? こんなにいいところにいて、いいの? 」
「あぁ、イムヤが何も思い出さなくたって、それでも今日が最初になるならって思ったんだ」
軍は抜けた。故郷も、親兄弟さえも、捨てた。
今、俺にはイムヤしか、いない。
彼女さえいれば、他は何も要らない。
幸いにしてイムヤたちの功績で俺には多額の金がある。
元より遊び暮らしていたわけでもない。
貯金を多少切り崩して購入した物件は、海の見える小高い丘の一軒家だ。
「…………ごめんなさい。あなたのこと、大切だとは思うんだけど」
「ッ……いいさ、それでも。寧ろよかったのか? 自分より幾つも歳上の男に着いてきて」
「うん。あなたのことは分からないけど、女の勘は絶対的に正しいの」
「ふぅん? 」
確信めいた言葉を乗せたイムヤの舌先に、ふと見入る。
あの舌で、あの舌が舐めた犬歯で、抉られたい。肉を裂かれ内臓に突き立てられたって構うものか。
それでもそんなことはおくびにも出さず鍵を取り出し、回す。
思えば色々なことがあったものだ。
曲がりなりにもエリート軍人と呼ばれ、持て囃されつつも対立と嫉妬に巻き込まれた日々。
それを終わらせた狂気染みた少女との共有。
共有が過ぎて精神的に傾いた、俺。
その俺が立ち直れたのは、正直イムヤがイムヤではなくなってくれたからかもしれない。
今でもあの狂気には強く惹かれつつも、どこかで安心している自分がいるのも、確かだ。
魅力的な毒、それを体現していたのがイムヤだったのだと思う。
それが今では、ただの不安げな少女でしかない。
変えられたのならば、今度は俺がゆっくりとでも守ってやる。
喪ったものを喪ったもので埋めて、また喪うことの無いように。
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