あなたが目を覚ますと、見知らぬ天井が広がっていた。
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30: ◆ALICE6.PAk[saga]
2018/03/08(木) 22:23:46.52 ID:SLggp9pA0
>>28-29
 あなたは突然現れた小人に驚愕しながらも、先に自己紹介をしてから、幾つかの事を訪ねようとする。
 しかし、そこであなたは、あなた自身が自己を紹介出来るほど自分を知らないことに気づいてしまう。
 名前。経歴。目的。人間として持つべき記憶の全てを、今現在のあなたは持ち合わせていない。
 そもそも自分とは何者なのか。
 それが判らないことでどのような感情を迎えているかは、あなた自身が決めることだ。

 兎も角早々に自己紹介を諦めたあなたは、小人に矢継ぎ早に質問を重ねた。
「う、ううん……いきなりそんなに質問をされても、困ってしまうよ」
 小人は浴びせられる質問にあたふたとしている。
 場を取り直すように、或いは何か考え事をしているかのように翅を振動させると、光の粒子が中空に舞う。
「とりあえず、自己紹介をするね。ボクは……うん、リィンって呼ばれる事が多いかな。そう呼んでほしい」
「綴りは、こんな感じだよ」
 言いながら、リィンと名乗った小人が中空に人差し指を突き出し、まるで文字を描くようにそれを動かす。
 小さな指が動くとその場に光の粒子が留まり、一つの記号を作り出す。
 "Rene"。それはあなたもよく知る文字の羅列であった。
「ここは遺跡の中だよ。丁度、第一層の中心付近かな。ボクの住処でもあるんだ」
「普段は、ニンゲンさんは入れないはずなんだけど……」
 不思議そうに小首を傾げて、リィンは言葉を続ける。
「さっきの部屋……っていうと、あなたが今出てきた扉かな。今丁度、あなたが出てきたのを見たんだ」
「実はボクにもそれが判らないんだよ」
「普段ここの扉はぴったり閉じちゃってるし、ボクの力じゃそこの扉は開けられないからね」
「ここにニンゲンさんが居る事自体、ボクは初めて見るよ」
 確かにリィンの全長は30cm程度程度しかなく、見た目も華奢な少女のそれだ。その扉が開けられないことに、不思議な点は無いだろう。
 即ち彼女もまた、あなたが誰なのか、そしてどうしてここに居るのかを知らないように見える。
 ただどうにも、この空間は普段ニンゲンさんとやらが訪れるような場所ではなく、しかも彼女自身もこの扉の奥がただの個室であることを知らないらしい。
 あなたは誰も来ないような閉鎖的な場所の更に秘匿された個室で、眠り続けていたということになる。


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