ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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487: ◆b0M46H9tf98h[saga]
2020/12/22(火) 02:43:39.33 ID:fesFSrnb0
…ポーツマス…

ドロシー「よし、着いた……ま、汽車の旅もなかなか面白かったな。王国鉄道のサンドウィッチは相変わらず乾いていてまずかったが…まるでエジプトのミイラみたいだったぜ?」

アンジェ「食べたいと言って買ったのは貴女でしょう……それで、この後は?」

ドロシー「まずは支援要員が用意した偽の旅券を手に入れて、それからリヴァプール行きの船に乗る……見ての通りここはアルビオン有数の港だ。人も多いから、その中に紛れるのもたやすい」

アンジェ「そうね」


…「ケイバーライト」の実用化と空中戦艦の出現によって、それまでの装甲艦は一瞬にして時代遅れとなってしまった…とはいえ、世界中に広大な植民地を持つアルビオンとしては、専用施設の整備が必要で維持管理の大変な「とっておき」の空中戦艦だけで植民地を維持する訳にもいかない……そのためポーツマスの軍港側には十数隻の防護巡洋艦や「最新式の旧式艦」などと揶揄される大きな戦艦……そして民間港には帆走のものに蒸気機関のもの、そして帆走と蒸気機関併用の機帆船……アルビオンに必要な物資や富を世界中から運んでくる、大きさも様々なあまたの貨物船や客船、それから地元の漁船が係留されている…


ドロシー「ああ……まずはメールドロップに向かおう」(※メールドロップ…機密文書等を隠しておく特定の場所)

アンジェ「ええ」

…ポーツマス市街・裏通り…

ドロシー「ここだな……」数十分に渡ってドロップを遠巻きにして、監視がないことを確認してから始めて近づいた二人…

アンジェ「そうね」

ドロシー「…よし、あった」アンジェがさりげなく見張る中、崩れかけたレンガ塀の中からレンガを一つ引き抜いた……レンガにはさりげなく引っかいて付けた印があり、ドロシーは塀の奥にしまってあった物を取り出すとレンガを戻し、印を削り落とした…

アンジェ「……それで、中身は?」

ドロシー「ばっちりだ。何しろ公式の旅券を公式に発券させたんだからな……違うのは名前と住所だけさ♪」

アンジェ「結構ね」

ドロシー「…と言うわけで、私はこれから「キャサリン・マクニール」で、お前さんが……」

アンジェ「フランス系カナダ人の「フランソワーズ・ブーケ」」

ドロシー「なかなかいいじゃないか……アルビオンの圧政と貧困から抜け出そうとしてカナダに移民したアイルランド人は多い。それにケベックはアルビオンに負けて取られちまうまではフランス領だったし、両方の意味で好都合だ」

アンジェ「そうね」

ドロシー「それじゃあ役柄も決まったことだし、船に乗ろうぜ?」

アンジェ「ウィ」

ドロシー「そうそう、その調子……♪」

…ポーツマス・港沿いの宿屋…

ドロシー「…ごめんよ」

宿屋のおかみ「はいはい「ビル船長の宿」にようこそ、お嬢さん方……食事かい?それとも宿泊かい?」

ドロシー「ああ、泊まりの方で頼むよ…二人部屋で一泊」ポーツマスの下町でもあまり評判の良くない宿屋に入った二人…受付にはおかみらしい、欲深そうな中年の女が座っている……

おかみ「そうかい、それならとっときのいい部屋があるよ……二階の角部屋だけどね」そう言いながらちらちらと二人の着ている物や鞄を値踏みしている…

ドロシー「じゃあそこがいいな…いくらだい?」

おかみ「前払いで一シリング……格安だよ?」

ドロシー「よし、じゃあそこにしよう♪」

おかみ「どうもね、鍵はこれだよ」

…宿の部屋…

ドロシー「…よいしょ♪」旅行用のトランクを床に下ろすと「ぼふっ…」と音を立ててベッドに飛び乗った…

アンジェ「ちょっと、ほこりが立つからよしなさい……」

ドロシー「ま、そういうなよ…確かにひでえな」

アンジェ「まったく……」

ドロシー「…さて、必要な荷物は持ったか?」

アンジェ「ええ」

ドロシー「それじゃあもうここに用はないな……あのヒキガエルみたいなババアのやつ、今日は丸儲けってわけだ」

…アイルランドには似つかわしくない着替え数着といくつかの小物をベッドの上に放り出すと、旅行鞄を再び持ち上げた二人……そうして残した物はおそらく二人が出て行って数分もしないうちにおかみがくすねて、一時間もしないうちに裏町の闇商人の手に渡ってしまうだろうとドロシーは見ていた…

アンジェ「そうね」

ドロシー「ま「それもやむなし」ってやつか…行こう♪」


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