ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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560: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/08/13(金) 02:11:27.56 ID:ZwMkMxdK0
…しばらくして…

ドロシー「しかし何だなぁ、まだ地味な方だから救いようがあるものの……ヴェニスのカーニバルじゃああるまいし、いつからハロウィーンにあんな仮装をするようになったんだ?」

アンジェ「本来は仮装なんてしないらしいわね?」

ドロシー「少なくとも古いアイルランドのしきたりにのっとったハロウィーンではそうらしいな……あの仮装ってのはここアルビオンか、新大陸あたりで始まった風習らしい」

アンジェ「なるほど…でもこうした風習が流行れば一つだけ都合のいいことがある」

ドロシー「仮装をしているから人相や風体を知られずに済む……だろ?」

アンジェ「その通りよ……というわけで、貴女にも用意しておいたわ」黒いマントと三角帽子、それに掃除用具入れから引っ張り出してきた箒を差し出す…

ドロシー「あたしは魔女か…だったらどっかの「スノウ・ホワイト(白雪姫)」に毒リンゴでも仕込んでやらなきゃな♪」

アンジェ「ええ、ぜひそうしてちょうだい」

ドロシー「アンジェ、お前は?」

アンジェ「ええ、私はこれを……」二つのぞき穴を開けてあるだけの紙袋をかぶり、頭に崩れたシルクハットを載せる…服はよれて駄目になった燕尾服で、片脚で跳ねてみせた…

ドロシー「スケアクロウ(カカシ)か…」

アンジェ「今だけはね。他の仮装もいくつか持っているから、途中で切り替えていくつもりよ」

ドロシー「それは私もさ……それじゃあ、また夜に」

アンジェ「ええ」

…数時間後・とある通り…

カカシ「トリック・オア・トリート!」一軒の家の裏口を叩き、袋ごしのくぐもった声で呼びかけた…

中年男性「あぁ、はいはい……ハロウィーンね」

カカシ「…」ボロボロの燕尾服からすっとウェブリー・フォスベリーを取り出し「パン、パンッ!」と心臓に二発撃ち込んだ…

男性「う……ぐっ!」

アンジェ「…まずは一人目」蒸気で煙る街角を曲がるとカカシの燕尾服を捨て、白いシーツをまとった幽霊になった……

…同じ頃・裏通り…

貧しい子供「ねえ魔女のお姉ちゃん、お菓子ちょうだい…!」

汚れた子供「僕にも…!」

やつれた子供「おいらにも…!」

ドロシー「よーし、みんなにちゃんとやるから安心しな……ただ、今日はお菓子をもらうのに言うべき言葉があるだろう?」

やつれた子供「えーと…トリック・オア・トリート!」

ドロシー「正解だ。 そら、持ってけ♪」お菓子と一緒にさりげなく半クラウン硬貨も握らせるドロシー…

やつれた子供「お姉ちゃん、これ…いいの?」

ドロシー「あたぼうよ♪ ただし、魔女のお姉ちゃんから一つ頼みがある……角に立ってる茶色い山高帽のおじさんが見えるか?」共和国の連絡役が泊まっている木賃宿の向かいに陣取り、出入りを監視している王国防諜部員を指差した…

貧しい子供「うん、背の高いおじさんだね」

ドロシー「そりゃあお前たちからしたらな…とにかく、あのおじさんにしつっこくまとわりついて「トリック・オア・トリート!」をやってくれ……追い払われたり蹴飛ばされるかもしれないが、最低でも一分はねばるんだぞ」

汚れた子供「それだけでいいの?」

ドロシー「おうさ、それだけで十分だ……あとはその半クラウンを持って飯屋に行って、美味いものでも腹一杯詰め込めばいい」

やつれた子供「分かったよ…ありがと、魔女のお姉ちゃん!」菓子は誰かに盗られる前にその場で食べ、それから一斉に駆けだしていく子供たち…

ドロシー「ああ(これで雪隠詰めになっている奴もどうにか抜け出せるはずだ…)」

子供たち「……トリック・オア・トリート! お菓子をちょうだいよ、おじさん!」

山高帽「何だ何だ……えぇい、うるさい! あっち行け!」

子供たち「トリック・オア・トリートだってば! お菓子くれないならいたずらするよ!」

山高帽「ええい、まとわりつくなっ…このガキ共が!」子供にまとわりつかれて監視の邪魔になる上、目立つ状態に置かれて焦る防諜部員……いらだって腕を振り回したり蹴ろうとすればするほど子供たちはちょこまかと動き回りはやし立てる…

青年(共和国連絡員)「…」その隙を逃さず、連絡員はするりと裏通りの陰へと姿を消した…

………

…


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