ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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627: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/01/10(火) 02:11:53.06 ID:VbC7I6il0
…一時間後…

ベアトリス「やっ!」

ちせ「うむ、なかなか良くなってきたのう。 さあ、もう一本じゃ」

ベアトリス「は……っ!」

ドロシー「ちせ、その辺でいいだろう……ベアトリスの足元がふらついてきているしな」

ちせ「承知した」

ベアトリス「ふぅ、ふぅ……はぁ……っ」呼吸一つ乱れていないちせとは対照的に、投げたり投げられたりですっかり息が上がっているベアトリス……額からは汗を垂らし、片隅においてある休憩用の椅子へ崩れるように腰を下ろした……

アンジェ「なかなか頑張ったわね」

ベアトリス「ぜぇ、はぁ……ひぃ……こんな……たくさんやらされるなんて……思っても……いませんでした」

ドロシー「良いことだ『訓練で汗をかいた分だけ、実戦では血を流さずにすむ』って言うからな」

アンジェ「それに柔術は相手の力を使って投げを打つから、慣れれば自分の力を使わずにすむ……つまり同じ格闘をするのでも疲労することなく、より合理的かつ長く戦うことができる」

ドロシー「最近じゃあ「婦人参政権運動」に関わっている女たちの間でも練習しているほどだからな……なんでも警察に取り押さえられたりしたときに使うそうだが」

アンジェ「聞いたことがあるわ。特に非力な女性でも格闘術を習っているような相手を無理なく投げられるというのが大きいようね」

ちせ「……なまじ格闘術をかじっている相手ならば、むしろ扱い易いというものじゃ」

ドロシー「そういう奴は定石にのっとって掴みかかってくるからな。むしろどう出るか分からないトーシロ(素人)だの、頭のイカレちまった奴らの方がおっかないな」

アンジェ「同感ね」

ドロシー「……さて、そろそろ呼吸も落ち着いてきただろう。今度は射撃の訓練といこうか」

…ベアトリスとちせが格闘訓練をしている間にドロシーとアンジェは徒手格闘の訓練を済ませ、そのうえさらに射撃練習用の銃を用意し、銃弾を選別してある…

ベアトリス「はい」

ドロシー「いいだろう……それじゃあいつも通り.320口径辺りのリボルバーで練習することにしよう」

ベアトリス「分かりました」


…ベアトリスが台から取り上げたのは小ぶりな五連発の護身用リボルバーで、青みがかった黒い六角銃身はきちんと油がひいてあり、ランプの光を受けて艶やかに照り映えている……ドロシーやアンジェに口酸っぱく言われたおかげか、先に中折れ銃身を開いてシリンダーに弾が入っているかを確認し、それから改めてパチリと銃身を戻すと標的に向き合った…


アンジェ「標的との距離は十ヤード、とにかく初弾を命中させるように」

ドロシー「一発目を外したやつに二発目を撃たせてくれるお人好しなんていやしないからな……好きなタイミングで撃て」

ベアトリス「はい……!」パンッ!

ドロシー「お、命中だ」

アンジェ「でも右上にそれている……あの位置だったら相手の鎖骨辺りね。場合にもよるでしょうけれど、あれでは致命的な一撃にならない」

ドロシー「ああ……ベアトリス、もう一発撃ってみろ。跳ね上がりがある事を頭に入れて少し左下……心臓をぶち抜くつもりならみぞおち辺りを狙うんだ」

ベアトリス「はい」バンッ!

ドロシー「いいじゃないか、あれなら相手はのたうち回ってくれるだろうよ……よーし、今度は続けて二発撃て。一発目の跳ね上がりをひじで吸収するようにして、続けざまに撃ち込め」

アンジェ「無煙火薬の銃ならともかく黒色火薬の銃だと硝煙がひどいから、相手を見ようとして時間をかけたりしないように」

ベアトリス「分かりました。ふー……」パンッ、パンッ!

ドロシー「へぇ、前よりも良くなったな」

アンジェ「悪くないわね。 ベアトリス、貴女は小口径の銃を使う分、より一層正確に相手の急所を撃ち抜けないといけない……まずはきちんと命中させられるようになって、それから早さを磨いていくこと」

ドロシー「ああ……これが.455みたいにある程度口径のあるピストルなら多少狙いがズレてもいいんだが、そもそもそういうピストルは私たちみたいな情報部員が普段隠し持つには大きすぎて向かないし、お前さんみたいに小柄な女の子ならなおさらだ」

アンジェ「ドロシーの言うとおりよ。そもそもああいう大型のリボルバーは反動や衝撃が大きくて、貴女のように経験が少ない人間にはまともに扱いきれない」

ドロシー「だからってくさるなよ? 腕の立つエージェントや暗殺者ってのは小口径を使いこなせてこそ……だからな」

ベアトリス「そうなんですか?」

アンジェ「……あくまでもスタイルによるけれど、小口径できちんと急所を狙えるというのは腕が良い証拠よ。それに小口径のリボルバーは隠しやすく、銃声も小さい」

ドロシー「つまり私たちみたいな商売の人間が使うのに向いているっていうわけだ……それじゃあそこにある一箱を撃ちきったら休憩にしよう」

ベアトリス「はい」


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