ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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641: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/04/09(日) 01:31:49.11 ID:j/YqdF0T0
…数十分後…

訓練生A「……ふわ……んくっ」出かかったあくびをかみ殺そうとするが、間に合わず息が漏れる……

ホワイト「ミス・アーガス。監視任務は単調で退屈かもしれないが、情報部員にとっては避けられない任務の一つだよ?」

訓練生A「済みません……」

ホワイト「分かっているなら結構。では眠気覚ましに牧場を一周しておいで?」

訓練生A「はい」

訓練生B「……っ!」目の周囲を這い回りはじめたハエを、思わず手で払いのけてしまう……

ブルー「バーン……残念、君は王国防諜部に撃たれてあの世行きだ。 一周してくるんだ」

訓練生B「はい」


…ぽかぽかと温かい穏やかな日差しの中、身じろぎひとつせずに「監視」を続ける訓練生たち……が、顔の周りをうるさく飛び回る虫や忍び寄る眠気に勝てず、つい身動きをしてしまったりウトウトしてしまったりして、教官に皮肉を言われながら一人また一人と駆けだしていく…


ドロシー「……(あーあ、監視任務の訓練って言ったってただ生け垣を眺めているだけだもんな『プリンセス・プリンシパル〜Crown Handler・第三章〜』でも見に行きたいぜ……)」

アンジェ「……」

ドロシー「……(しかしアンジェのやつ、相変わらず眉毛一つ動かさないな……いったい何があったら表情を変えるんだ?)」

スカーレット「ミス・カーター? お昼寝をするにはもってこいの陽気だけれど、交代要員が来るまでは我慢しないといけないわね」

訓練生C「すみません、教官。走ってきます……」

スカーレット「よろしい」

…二時間後…

ホワイト「よーし、ではそろそろおしまいにしようか。最後まで我慢できた君たちは実に忍耐強いな、将来が楽しみだ」

スカーレット「ミスタ・ホワイトの言うとおりね。どうしても秘密情報部員だとかエージェントだとか言うと、華々しい活躍や手に汗握るような破壊工作を想像しがちだけれど、実際はこうした単調で地味な任務がほとんどなの」

ホワイト「そう、残念ながらそういうものなのだ……さて、ずっと寝そべっていてすっかりあちこちがこわばってしまっただろう。牧場を一周して少し身体をほぐしておいで?」

ドロシー「結局走らされるのかよ……」

………

…別の日・牧場の厨房…

しわくちゃのお婆さん「ああ、いらっしゃい……この娘たちが新しい訓練生ね?」

…訓練生たちが集められた厨房は数十人分の食事がいっぺんにまかなえる大きさで、ピカピカに磨き上げられた銅製の鍋や鉄のフライパン、各種の調理器具がきちんと整頓されて取りそろえてある……ホワイトに引率されてやって来た訓練生たちを出迎えたのは白髪で笑いじわを口元に浮かべたエプロン姿の年配女性で、親しげな様子でホワイトに声をかけた…

ホワイト「ええ、ミセス・アプリコット……諸君、紹介しよう。君たちに家事や料理を教える、ミセス・アプリコット……アプリコット教官だ」

アプリコット「教官だなんて、そんなご大層なものじゃないわ……始めまして、皆さんに料理をお教えするアプリコットです、どうかお見知りおきをね♪」しわくちゃの顔一杯に優しい田舎のお婆ちゃんのような笑みを浮かべ、古めかしい作法で一礼した……

ホワイト「では、後はお願いします」

アプリコット「ええ、ミスタ・ホワイト……さて、皆さん手は洗った? エプロンは着けた?」

訓練生たち「「はい、ミセス・アプリコット」」

アプリコット「そうかしこまらないで結構よ……それじゃあ、皆さんには順番に料理とお菓子の基本をお教えしましょうね♪」

…調理台に開いた料理本を置き、数人ずつ呼んで基礎を教え始めたアプリコット……訓練生の中には下働きのメイドや料理屋の女の子として多少調理の心得がある者もいるが、反対に卵の割り方も知らないようなまったくの初心者もいて、アプリコットと二人の補助教官「オレンジ」と「シナモン」が丁寧、かつアルビオンらしい皮肉たっぷりに料理のイロハを教え込む…

訓練生D「出来ました、ミセス・アプリコット……」

アプリコット「そう。 ではさっそく見せてもらえる、ミス・デヴォン?」

訓練生D「……これです」

アプリコット「はて、これは何かしら……地面に落ちていた革手袋?」訓練生たちの間から思わずくすくす笑いが漏れる……

訓練生D「いえ、その……オムレツです……///」

アプリコット「そう。見たところ革手袋にしか見えないけれど、私の目が悪いだけかもしれないわね……ふむ、食感もごわごわしていて革手袋に似ているわ」

訓練生D「///」

アプリコット「……ミス・デヴォン、どうやら火加減を誤ったようね。プレーンオムレツは卵料理の基本にして最も難しいものだから細心の注意が必要よ。ではもう一度、さっき私が教えた通りにやってご覧なさい?」

訓練生D「はい……」

アプリコット「ではお次の方、出来上がった料理を持っていらっしゃい?」


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