ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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642: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/04/17(月) 00:58:14.05 ID:i7ilfSoi0
………

…

ベアトリス「それじゃあドロシーさんとアンジェさんも?」

ドロシー「ああ、形ばかりはな」

ベアトリス「そういえばアンジェさんも一度オムレツを作った事がありましたね」

ドロシー「ああ、例の偽装亡命で壁越えのルートを探ろうとしたあいつの時か……そうだな、アンジェのやつ「買ってきた」とかなんとか言ってたが、きっと作ったんだと思うね」

ベアトリス「あれ、上手でしたよね」

ドロシー「あいつは何でもそつなくこなすからな……ファームで料理を習得させられた時もなかなかのものだったぜ」

ベアトリス「でも、アンジェさんってあんまりお料理やお菓子作りをしませんよね」

ドロシー「まぁ言うなれば「ガラじゃない」ってことだろうな……料理や家事みたいな技能に関してはなりきるカバー(偽装)がエージェントによって違うから、そこまで高いスキルが要求されないやつもいるし、反対にメイドや料理人に向いていそうなやつはみっちり仕込まれるんだ。そこは全員がある程度の水準を求められる暗号作成や安全な連絡の取り方みたいな「必須」の能力と違うところだな」

ベアトリス「なるほど」

ドロシー「でも、料理や菓子作りも必須じゃないとはいえなかなか厳しかったぜ? ある程度できるようになってくると教官が並んでいる所に料理を出したりするんだが……最初はみんなアプリコットの訓練を「優しいおばちゃんと楽しいお菓子作り」くらいに思っていたもんだが、訓練が進むにつれて「あのしわくちゃアンズばばあ」って陰口をたたくほどだったからな」

ベアトリス「ひどいですね」

ドロシー「なにしろそう言いたくなるくらい手厳しかったからな……『ミス・ドロシー、これはスフレかしら? 私にはしなびた花びらに見えるわ?』とか『味がしないわね、まるで未開の土地の地図のように真っ白』とか……今でもはっきり覚えてるよ」

ベアトリス「……くすっ」

ドロシー「笑い事じゃなかったぜ? しくじればやり直しだし、おまけに罰として皿洗いまでやらされるんだからな」

ベアトリス「確かにお皿洗いは大変ですよね……」

ドロシー「ああ……かくしてエージェントの卵として色々やらされて、最後はめでたく「卒業試験」ってわけだ」

ベアトリス「なるほど。それでアンジェさんとドロシーさんの場合はどんな「卒業試験」があったんですか?」

ドロシー「ああ、それか……私たちの時は革命騒ぎの混乱が収まるまでの間に急いでエージェントを植え込まなきゃならなかったし、情報収集だけじゃなくて荒事もできる人間が必要だったから、そんな悠長な課題じゃなかったな」

ベアトリス「というと?」

ドロシー「それなんだが、ある日いきなり街中のネストに連れて行かれたかと思うと教官からピストル一挺とナイフ一振りを渡されて、治安の悪い街区に行って札付きのちんぴらを始末してこい……って内容だったな」

ベアトリス「えっ?」

ドロシー「何も驚くようなことじゃない……騒ぎを起こさず街のごろつき一人バラせないようじゃあエージェントとして何かあったときに使えるわけがないからな」

ベアトリス「……でも、街で誰か殺されたら警察が調べたりするんじゃないですか?」

ドロシー「いいや。ああいうやくざ者は恨みを買っていることも多いし、殺されたとしても警察は面倒を起こす街のダニが一人減ったと喜ぶ程度で真面目に捜査したりなんてしないさ」

ベアトリス「そういうものなんですか」

ドロシー「そういうものさ。こいつは私の想像だが、コントロールは警察の前科者リストを持っていて、その中からいつ殺されてもおかしくないようなやつを選んでいるんだろう。そもそも連れて行かれた街区はパトロールの警官だって尻込みして行かないようなガラの悪い場所だし、まともに捜査がされるとも思えないな」

ベアトリス「なるほど……それでお二人は……」

ドロシー「ああ、ちゃんとやったよ……結局のところ、腕前を知りたいって言うよりは訓練生に「もう戻れないぞ」っていう覚悟をさせるための卒業試験だったんだろうな……」

………

…とある日・ファームの教官室…

アンジェ「失礼します」

ドロシー「教官、何のご用でしょうか」

ホワイト「ああ、二人とも来たか……まぁかけたまえ」

ドロシー「はい」

ホワイト「さて、と……実は君たちの「卒業」についてだが、これまでの成績も優秀だし、我々教官たちで相談した結果そろそろ「卒業試験」を行おうということになった。 おめでとう」

アンジェ「ありがとうございます」

ドロシー「それはそれは……で、その「卒業試験」はいつやるんです?」部屋に置いてある数少ない身の回りのものやあれこれを片付けることを考えて、教官に尋ねた……

ホワイト「今からだ」



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