ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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656: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/07/26(水) 01:09:39.08 ID:P2DdLqeU0
…数十分後…

ドロシー「シルヴィは本当に可愛いね♪」

金髪巻き毛の娘「もう、お上手ですこと……///」

黒褐色髪(ブルネット)の娘「ねーえ、せっかくなんだからもう一杯どーお?」

アンジェ「なら、もう少しだけ……///」

ドロシー「ふふ、マルグリットは初々しくって可愛いね……さ、それじゃあそろそろ踊りにでも行こうか♪」

…フルボトルのシャンパンを空けてすっかりご機嫌……なフリをしているドロシーとアンジェ……ドロシーはグラスをぐいと飲み干すと、いかにも遊び好きのプレイガールらしく陽気に切り出した…

ブルネット「まぁ素敵♪」

金髪「でしたら近くにダンスホールがありますわ」

ドロシー「それじゃあ決まりだ♪」

………

…しばらくして・市街…

ちせ「……やれやれ、二人があの娘らと踊っているあいだの暇をどうするかのう」

…二人が現地の娘を連れてダンスホールにしけ込んでいるあいだ、行く当てもなく夜のル・アーヴル市街を歩いているちせ……もちろん、ただ歩いていたわけではなく、尾行がないかどうかの確認をしながら、目印になりそうな地形や店を覚えたり、何かあったときの逃げ道を把握したりと「いざというとき」の準備をしていたが、それもある程度は済んでしまった…

ちせ「ふむ……宿に戻ってもやることはなし、芝居や寄席に行ってもフランス語が分からんのじゃから筋書きなどさっぱりじゃ」

…繁華街のあちこちにある芝居小屋や寄席のような場所には出し物を告げる看板やポスターが飾ってあるが、フランス語がからきし駄目なちせには絵柄はともかく、そこに添えてある文章に何が書いてあるのか見当もつかない……時折、顔が赤くなるような刺激的な看板もあったりするが、そういった物からは目を背けて足早に歩き去る…

ちせ「だからといって歩き回っているだけというのも芸がないというものじゃが……むむ……」思案しながら歩いていると、角を曲がって来た一人の少女から日本語で声をかけられた……

少女「おや……そなたは日本人ではありませぬか?」

ちせ「……いかにも」

少女「やはりそうでありましたか。この広い欧州で同国人に出会えるとは、なんとも奇遇なこと」

…ちせと同い年かそれより二つ三つばかり年上に見える女の子は、嬉しそうにしながらも折り目正しく一礼した……長い黒髪は波打たせて美しく伸ばし、まるで印象派の絵から抜け出してきたような赤ワイン色のふわりとしたドレスに、足もとは赤い婦人靴でまとめている……黒い瞳は凜々しく光をたたえ、良家のお嬢様らしく姿勢も言葉遣いもきちんとしている…

少女「……私は漢字で「千」の「代」と書いて「ちよ」と申します。貴女は?」

ちせ「うむ、私はちせと申す」基本的には身分証を偽装する必要がない立場なので、安心して名前を名乗った……

千代「ちせさん、良い名前ですね……それにこちらでは年の近い日本人の女子(おなご)と会うことなぞとんと無いから、こうして会えて嬉しい限り」

ちせ「同感じゃ、おまけに欧州では東洋人の肩身が狭いからの……千代どのは何か用事があって夜の街に出てこられたのか?」

千代「いいえ、ちょうどそこの料理屋で夕食をしたためてきたところでございます……それで、これから「キャフェー」に行って食後のコーヒーなど頂こうかと思いまして」

ちせ「なるほど、なんとも洒落ておるのう……」

千代「大したことではございませんよ……ところでちせさん「袖触れ合うも多生の縁」と申しますし、今度お茶にでもいらっしゃいませんか? どこに行けば会えますかしら?」

ちせ「あー……それならば明日の昼下がり、この場所で会うというのはどうじゃろうか?」

千代「ふふ、心得ました♪ ではまた明日お目にかかりましょう」

ちせ「承知した……では、御免」軽く一礼すると歩み去った……

中年の男「……千代、あの娘は誰じゃ?」ちせが去ったあと、物陰からすっと千代に近づいた男……

千代「先ほどたまたま道で出会うた「ちせ」という娘で、日本から来たと申しておりました……異郷の地で会った同国人に対してよそよそしいのもおかしいと思いましたので、お茶に誘いましたが……」

男「そうか……まぁよかろう」

千代「……何か?」

男「気付かなかったか、千代?」

千代「いえ、あるいはそうかもしれぬとは思いましたが……」

男「うむ、おそらくは間違いあるまい。 あの娘、相当に腕が立つぞ」

千代「偶然でしょうか」

男「分からぬが、用心に越したことはあるまい」

千代「……はい」ふっと千代の瞳が険しくなった……


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