ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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698: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/06/21(金) 02:03:12.62 ID:5+XpPk3K0
…下町の食堂…

労働者の女性「定食を一つとビールを半パイント」

食堂の給仕「はいよ!」

女性「ふぅ……」

…ロンドンの水蒸気と煤煙に夕陽も薄汚れて見える日暮れ時、勤めを終えた労働者たちが一斉に入ってきて騒がしい下町の安食堂……くすんだダークチェリー色のドレスとチョッキ、頭には薄汚れて灰色がかった白のハーフボンネットという「いかにも」な労働者の女性が座り、ぞんざいな態度で置かれた食事に手をつける…

女性「……」

…安食堂のメニューは日替わりの一つきりで、この日の献立は肉よりも軟骨の方が多いようなごわごわのポーク・ソーセージと表面のこげた肉パイ、それに匂いの強いチェダー・チーズが添えてある…

ドロシー「……隣、いいかい?」

女性「別にあたしの店じゃないんだし、好きにすれば良いわ」

ドロシー「どうも……今日の定食とエールをパイントでくれ。それとプディングはあるか?」

給仕「ああ」

ドロシー「それじゃあそいつもだ♪」

女性「……なかなか景気がいいみたいね」

ドロシー「なぁに、ちょっとした臨時収入があってね……良かったらおごるぜ?」シリング硬貨をテーブルの上に置いた……

女性「そう、そんなら……ビール、もう半パイントちょうだい! ……で、その「臨時収入」って?」

ドロシー「それなんだが、この間ケネル・クラブで急死騒ぎがあったろ?」

女性「ああ、お金持ちの病気だとかなんとか言うやつでしょ……ぜいたくな物ばっかり飲んだり食べたりしてるから胃でもおかしくしたのね」

ドロシー「かもな。で、その時の事を聞きたがっているブンヤ(記者)がいて、いろいろ話したら半クラウンもくれたのさ」

女性「へぇ……?」

ドロシー「いや、実を言うとあたしは関係も何もなかったんだが、適当な事を吹き込んでやったら大喜びでさ……」

女性「ツキがあるのね……あたしなんてその会場にいたって言うのに、聞いてくれる人なんて居やしなかったわ」

ドロシー「現場に?そりゃ本当かい? 何でもえらい騒ぎだったそうだけど……」あらかじめ当日雇われていたことを調べておいた上で接触した女性に対し、さも驚いたような……そして聞きたそうな様子をして見せるドロシー……

女性「ええ。あたしは臨時雇いで厨房の皿洗いをしてたんだけど、騒がしいから何が起こったのかスーに聞いたら……スーってのは料理を運んでた女の子だけどね……酒を飲んでいたお客のひとりが急に泡を吹いて倒れたとかって……」

ドロシー「大変だったろうな」

女性「そりゃあもう……何人かは初めての参加者だったらしいけど、ほとんど知り合いみたいな物だったそうだし……てんやわんやよ」

ドロシー「まさかそんな騒ぎを生で見るとはねぇ……せっかくだからもっと聞かせてくれよ♪」

女性「まぁいいけど、そんなに詳しく見聞きしたわけじゃないんだよ?」

ドロシー「まぁまぁ、どうせ部屋に帰ったってボロいベッドで寝るだけなんだ。時間つぶしにはちょうどいいや……しゃべっていると喉も乾くだろ、もう一杯頼んだらどうだ?」

女性「そう? それなら……」

………

…別の日・部室にて…

ドロシー「……ジギタリスにイヌサフラン(コルチカム)、はたまたトリカブト……リコリス(ヒガンバナ)なんていう極東からの新顔もいるな」

プリンセス「綺麗な花なのにみんな毒があるのね」

…プリンセスが王宮の図書室から持ってきた植物図鑑をめくって、症状の特徴が似ているものを探す…

ドロシー「美しいバラには棘があるってことだな……どうだいプリンセス、誰か黙らせて欲しいやつはいるかい?」

プリンセス「いいえ、大丈夫です」

ドロシー「そうかい、そりゃなによりだ」

プリンセス「ええ……それにもし誰かを黙らせるつもりなら手を汚さずに済ませたりしないで、ちゃんと自分で手を下すつもりですから♪」

ドロシー「……そりゃどうも」

プリンセス「実は今もドロシーさんのお紅茶に……」

ドロシー「ごほっ……勘弁してくれ。プリンセス、最近冗談のキツさがアンジェに似てきたんじゃないか?」

プリンセス「まぁ、アンジェと似ているだなんて……ふふっ♪」


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