ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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◆b0M46H9tf98h
[sage saga]
2025/09/10(水) 02:55:33.07 ID:IJk4y82q0
…数分後…
ドロシー「……そろそろだな」
…ひたひたと裏町を歩いて拠点に向かっている間にも「壁」沿いの兵舎や監視所が慌ただしくなってきているのが遠目に見える……探照灯が点灯されて「壁」に沿った通りや立ち入り禁止区域をうろつく胡乱(うろん)な民間人がいないか、さっと掃くように光が照射され、人差し指くらいの大きさに見えるアルビオン陸軍の赤服たちがせわしなく駆け回っている…
ドロシー「兵隊さんはようやっとおでましか」
ドロシー「さ、いよいよだ……」倉庫内でカチカチと狂いもなく時を刻んでいた時限装置がゼロを指し、導線が触れた瞬間にスパークが起きて雷管に刺激を与える……
…すでに街区二つ分離れていたドロシーだったが、爆発と同時にくすんだ建物の屋根の上に火柱と黒煙がのぞき、それから爆煙がカールをかけるように丸まりながらふくらんでいくのが見えた…
ドロシー「よし」
…さらに数分後・とある車庫…
ドロシー「……よう」
ちせ「おお、無事じゃったか」
ドロシー「当然さ……おい、そっち側をめくってくれ」
ちせ「うむ」
ドロシー「お、ありがとな……さ、行こう♪」
…何も知らない協力者が借りた車庫の真ん中、ガラクタの中でこんもりとしたシルエットを覆っている布をめくると黒のロールス・ロイス乗用車が現われた……車体は隅々まで磨き上げられ、ドアやパネルの枠には銀色の縁取りがされている……ドロシーはにんまり笑うと運転助手らしい茶系の上着とズボンに着替えたちせを助手席に乗せ、ハンチング帽をかぶらせると運転席に飛び乗った…
ちせ「こんなに目深にかぶらされては何も見えぬぞ」
ドロシー「それでいいのさ。東洋人の運転助手なんていうのはあんまりいないから、見られちゃ面倒だ……車庫の開け閉めを済ませたら、席に深く腰かけていてくれ」
ちせ「やむを得んな……」
…ドロシーはエンジンをスタートさせるとちせに車庫の扉を開けさせて車を出し、後ろで観音開きの扉が閉じると軽くあごでしゃくって「乗れよ♪」と合図した…
………
…数十分後・ロンドン市内…
ドロシー「渋滞も事故もなし、無事に着いたな」
ちせ「反対車線では大わらわのようじゃったがの」帰り道では爆破した倉庫のある街区に向けてフルスピードで突っ走っていく、陸軍歩兵ですし詰めになったトラック数台とすれ違っていた……
ドロシー「言えてるな♪ さてと、ここでもう一度着替えだ」
ちせ「うむ……済まんが終わったら手伝ってくれぬか?」
…お抱え運転手風の黒い帽子と肋骨服を脱ぎ捨て遊び人の貴族令嬢らしい赤紫色のドレスをまとい、白ミンクの襟巻きを首元にふわりとかけたドロシーと、斬り合いはともかく、ドレスの着付けにはまだまだ練習が必要なちせ……ドロシーに深草色と黒の控え目なドレスを着付けてもらい、黒い婦人帽をかしげてかぶると小柄ながらしゃんとした立ち姿になった…
ドロシー「よし、それじゃあネストに行こう」
…しばらくして・ネスト…
ドロシー「ふぃー……まずはお疲れさん」
ちせ「うむ。ドロシーもご同様に……じゃな」
ドロシー「なぁに、あのくらいの撃ち合いは慣れっこさ……もっとも、エージェントが敵さんに見つかってドンパチに巻き込まれるようじゃまだまだだよな」肩をすくめて自嘲した……
ちせ「今回ばかりは致し方あるまい。まずは目標を達成できたのじゃ、それでよしとせねば」
ドロシー「野次馬に交ざった味方が観察して「任務成功」を報告するまでは分からないけどな……ま、とりあえず戻ってきたんだ。後のことは後で考えりゃいいか♪」見た目には華やかだが厄介なドレスを脱ごうと腕を上げた……
ドロシー「……っ」
ちせ「ドロシー、どうしたのじゃ?」
ドロシー「いや、大したことはないんだが……決闘の時に相手の弾が左胸をかすめたらしい。今になってピリピリして来やがった」
ちせ「大丈夫なのじゃな?」
ドロシー「ああ、かすめただけだから大したことにはなっちゃいないさ……ただ、日焼けしたときのヒリつきをちょいとばかり強くしたみたいな感じだ」
ちせ「ふむ、良かったら傷口を見てやろう」
ドロシー「そりゃありがたいな、ぜひ頼むよ」
ちせ「うむ、承知承知♪」ドロシーに頼られてまんざらでもない様子のちせ……
………
…
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