ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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770: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2026/04/13(月) 01:37:56.40 ID:GpXW2nhf0
…執務室…

ベアトリス「すぅ……はぁ……」何回か深呼吸をしてそっとドアノブを回す……

…深夜の執務室は書見や書き物をするための灯りが軒並み消され、ごく限られた照明だけが灯っているが、プリンセスの執務机の前で一人の侍女が何かゴソゴソしているのが分かる程度には明るい…

???「……誰!?」

ベアトリス「ベアトリスです……それよりどうしてここにいるんです? 厨房に食器を戻しに行ったはずでは?」

パリド「あ、ああ……それが厨房に食器を返したところで用事があったことを思い出して。ベアトリス、貴女は?」

ベアトリス「私もちょっとすることがあって……それより一体なにをなさっていたんですか?」

パリド「え、ええ……実は王女殿下に万年筆のインクを足しておかなきゃいけないことに気がついたの」

ベアトリス「……インクなら昼間のうちに私が足しておいたはずですが?」

パリド「言い方が悪かったわ。机のインク壺に注ぎ足す予備の方よ……」

ベアトリス「おかしいですね? 予備のインク瓶はまだ手つかずだったはずです……」そう言いながら少し間合いを詰めた……

ベアトリス「それと……ミス・バーネット、その後ろ手に持っているものはなんですか?」

バーネット(パリド)「……封筒よ」

ベアトリス「封筒?」

バーネット「え、ええ……王女殿下の机の上に置いてあったわ。例の脅迫状じゃないかしら」

ベアトリス「……どうして姫様が脅迫状を送られていることを知っているんですか? そのことは姫様ご自身とごく少しの人間しか知らないのですが」

バーネット「う、噂でよ……それにここ最近の王女は手紙の返事を書くとき不安げだったし」落ち着かない様子で視線をさまよわせている……

ベアトリス「その手紙、私に貸してもらえます?」

バーネット「いいわ。別に私のじゃないし、犯人を探す役に立つかもしれないものね……」

ベアトリス「それじゃあ……まだ封はしてありませんね」

バーネット「きっと私が来たから逃げていったんだわ」

ベアトリス「そうかもしれません……そして内容は「お前のような売女は王室にふさわしくない」ですか」

バーネット「ずいぶんなことを言うものね」

ベアトリス「そうですね……姫様に対してずいぶんな物言いですよ、ミス・バーネット」

バーネット「どうして私に言うの? それは犯人に言うべきことでしょう」

ベアトリス「はい、だから犯人の貴女に言っているんです」

バーネット「ちょっと待って。ベアトリス、貴女は私の事を疑っているの?」

ベアトリス「疑ってはいませんよ……確信を持っています」

バーネット「よしてちょうだい。貴女が少しのせられやすい性格なのは知っているけれど……どこの誰にそんなデタラメを吹き込まれたのよ」

ベアトリス「デタラメですか?」

バーネット「ええ。それにね、最近はやりの探偵小説だって犯人を追い詰める時は証拠を並べ立てるものよ」

ベアトリス「そうですね……じゃあ私が探偵をやりますから、間違いがあったら訂正してくださいね」ふっと息を吐くと身構えつつ、逃げ出されることがないよう扉を背に立った……

ベアトリス「まず貴女はここの掃除を行っていますから「脅迫状」を置ける立場にあります……もっとも、それは私を含めて他の数人にも当てはまりますね」

バーネット「そうね」

ベアトリス「……次に、この前の馬場で姫様の馬具に細工がされていた件。あの時、姫様の乗馬靴を持ってきたのは貴女でした」

バーネット「厩係や他の人間だってそのくらいはできるわ」

ベアトリス「その通りですね……でも数日前に姫様がメイフェア校からお戻りになられた際に貴女の手を取ったとき、指にインクが付いていた。お召し馬車が予想より早く着いて慌てていたんですね」

バーネット「きちんと綺麗にしていなかったのは申し訳ないけれど、筆記具の手入れをしていたらインクくらい付くわ」

ベアトリス「そうですね……でも前回の脅迫状の筆致と貴女の筆跡、調べてみたら字のつづり方に独特の癖がありました。それにこの脅迫状、誰かが置いていったにしてはまだインクが乾いていませんよ?」

バーネット「……」

ベアトリス「あいにく鹿撃ち帽もコートもなしの素人探偵による推理ですが……どうですか、ミス・バーネット?」



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