ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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775: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2026/06/16(火) 01:07:48.93 ID:hPSRvhPj0
…Case・ドロシー×アンジェ×プリンセス「Give my best regards to Sir Walsingham」(ウォルシンガム卿にによろしく)…

…とある日・コントロール内の無電傍受施設…

無電オペレーター「……」

…ロンドン市内にある「アルビオン共和国大使館」の立ち入りが制限された一角にはモールス信号機やその受信機がずらりと並び、複数の局員がヘッドフォンを耳に当て、空中を飛び交う電波の中から王国側の周波数、あるいは共和国側が使っていない周波数を捉えると電文をメモ帳に書き留めては、はぎ取った意味不明な文字の羅列を暗号解読室の局員たちが解読器にかけたり、敵方から手に入れたコードブックを用いて平文に戻していく…

解読係「……これは!」次々とメッセージを解読して行く中、一人の解読係が読み解いた暗号文を読むなり書類挟みを手にLの執務室に向かった……

………

…数日後・ロンドン市内の地下街…

L「ああ、来たな」

…張り巡らされた真鍮や銅のパイプが交錯し、常に漏出する蒸気で湿っぽい地下街に隠し部屋の一つがある……もともとは無計画で野放図な地下街の工事に使われていたが、革命騒ぎで放棄され埋め戻されることもなく忘れ去られた区画の一部で、今では開発された地下街と地下鉄トンネルとの狭間にあり、地下街に通じる隠し通路を使って出入りすることができる……室内は「アンダーグラウンド」あるいは「ザ・チューブ」と言い表されるロンドン地下鉄の音が鈍く響いていて、アーチ状の背の低い天井は長身の人間では頭をぶつけてしまいそうになる…

ドロシー「急な呼び出しだったからちょうどいいお土産がなくて大慌てだったよ」

L「慌ただしいのは好ましくないが『ちょっとした問題』が起きてな」

ドロシー「なるほど。それじゃあ一杯もらおうか」

L「好きにしろ。グレンリベット、ヘネシー……アイリッシュウィスキーがいいならジェームソンもある。シャンパンならクリュッグとクルボアジェだ」

ドロシー「今日はやけに気前がいいじゃないか」グレンリベットを開けてウイスキーソーダを作ると軽くあおり、机に肘をついた……

L「納税滞納者からの押収品なのでな。国庫を痛めることもない」

ドロシー「それはそれは……それで、今回はどんな無理難題を押しつける気だ?」

…赤紫色を帯びた瞳に少し皮肉っぽい笑みを浮かべ、グラスを揺すりながらウイスキーソーダをあおるドロシー……デイドレスはちょっとしたお出かけ用といったところで、上等ではあるが目立つほどではなく、ほどほどに綺麗ではあるが派手ではない……ことさらに気配を消そうという意図は感じられないが、必要な程度に「目立たない」格好をしていた…

L「うむ、そのことだが……これを読んでみろ」

ドロシー「あちらさんの暗号文か、わざわざ持ってくるなんて危なっかしいな……」ぼやきながら流し読みを始めたが、内容を確かめるなり目つきが変わり、知らず知らずのうちに姿勢を起こして真剣に読み始めた……

ドロシー「こいつは……」

L「なんだ?」

ドロシー「……どこの誰だか知らないが、こいつはあんたら「コントロール」の内部に送り込まれた第一級の情報源だな」

L「いかにも」内容を読み終えたドロシーからタイプされた紙片を返してもらうと暖炉にくべて灰になるまで焼き尽くした……

L「この発信を捉えてからの数日の間に収集した情報だが、こちらが数ヶ月前に王国へ送り込んだ情報部員の正体、情報活動に使った予算の額、王国への対応方針……とにかくこちらが被った被害は相当なものだ。手札が相手に筒抜けでは勝負にならん」

ドロシー「それで?」

L「もちろんこちらでもこの「もぐら」を探し出すが、君たちも正体を探ってもらいたい……こちらが新規に「植え込んだ」情報部員はおおかた面が割れていて使えんし、既存のエージェントもどうだか分からん以上うかつに動かせん。だが君たちのことは私とほか数人しか知らん以上、まだ存在を掴まれていないはずだ」

ドロシー「希望的観測ってやつか?」

L「ある程度の根拠もある。今までに挙げてきている成果と、王国が君たちを通じてこちらの諜報網を一網打尽にできる利益とではすでに釣り合わん」

ドロシー「なるほどな。しかし末尾の「ウォルシンガム卿によろしく」とはね……ふざけた奴だな」

(※フランシス・ウォルシンガム…1532〜1590年。エリザベス一世に対するスペインやスコットランド女王メアリ・ステュアートを始めとする国内外のカトリック勢力による謀略や暗殺計画を手段を問わずに次々と退け、英国の繁栄を影から支えた「英国情報部産みの親」にして伝説の秘密警察・情報部長官。女王の花婿候補にも次々と難癖をつけ結婚を諦めさせてしまうなど気難しい性格だったことから嫌われていたが、その圧倒的な実力で認めさせていた人物)

L「逆に言えば、それだけの個人的アクセントをつけても許されるほどの実力だということになる……君もそういうお遊びをしてみたいのなら構わんが」

ドロシー「あいにくそんな趣味はないんでね。しかしこれほどの余裕を持っているやつだ、手強いだろうな」

L「こちらも簡単だと言った覚えはない……やれるな?」

ドロシー「ああ、久しぶりに手応えのある相手だ。腕が鳴るね……ああ、それと」

L「分かっている。植え込みに失敗したエージェントたちの分だけ浮いた活動費がある。それを回そう」

ドロシー「頼んだ。なにしろ『情報にはいくら金をかけてもかけ過ぎることはない』んでね」(※「情報には〜」…ウォルシンガムが言ったとされる言葉)

L「よかろう。とにかくこれ以上被害が拡大する前に食い止めたい、成果に期待している」

ドロシー「やるだけはやってみるさ……それじゃあお先に」

L「うむ」


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