14: ◆yWlv.1MHkTeb[sage]
2018/04/10(火) 01:04:14.42 ID:wXCgTZoC0
少女はピッケルを修道服に収めると、代わりに杭を取り出した。40センチほどの金属のそれで、少女はドアの横の花瓶を殴った
ガッシャーン
アネモネ「鐘は鳴りました。ラッパだったかしら?」
そう微笑む少女の前に、盗んだ弁当を食べながらアライさんが慌ててやって来た。
アライさん「あああ!大きいチビこけたのだ?大丈夫なの・・・」
アライさんと少女の目線が合う。少女は微笑みを崩さないまま頭を下げる。ここには何もおかしなことは無いかのように。
アネモネ「はじめまして、私の名前はアネモネ。シスターアネモネ」
アライさん「お前がやったのだ?お前が・・・お前が・・・」
アネモネ「はい、ええ、他者の家で汚い食事を申し訳ありません。あら、あらら食事中でしたか。お弁当が床に落ちてしまっています」
アライさん「答えるのだ!おっきいチビを・・・」
怒りに震え、野生開放をしてにらみ付けるアライさんに少女は杭を振りかぶった。
ズボッ!
アネモネ「あらら、外してしまいました。」
アライさん「のだあああああああ」
ゴキン!
杭を床に刺して前かがみになった少女の無防備な顔面をアライさんは全力で爪を立てて抉った。野生開放をしたアライさんの一撃は成人男性の頭蓋骨を砕くまではいかないが、この華奢な少女の顔を砕くのは容易い。
骨が砕ける音と共に少女の顔は切り裂かれた、はずだった。
アライさん「え?て、手ごたえがあったのだ!確かに殴ったのだ!骨も折ったのだ!」
アネモネ「ええ、殴りました。こういう時は・・・ええ、ええそうですね。痛い」
少女の顔はアライしゃんの血と肉片が付いたまま、そして微笑んだまま。殴る前と何ら変わりはない。
アライさん「に、人間じゃないのだ…」
アネモネ「そう変わりはしません。私の力は弱く、足も速くない。重い物などとてもとても」
アライさん「に、逃げるのだ!みんな逃げるのだはっ!」
そう叫びながら少女に背を向けたアライさんは腐った床板を踏み抜いてしまった。
アライさん「昨日までここはぴかぴかだったのだ!うぎぃ!抜けないのだ!」
はまった左足を何とか抜こうとするアライさんの右足を少女はパンケーキにフォークを刺すかのように杭で突き刺した。
アライさん「だあああああああのだだだ!」
アネモネ「アライしゃんはあと二人でしたね。ええ、ここでお待ちしても良いのですが、迎えに行くのが客人のマネーでしょうか?」
アライさん「ぐぐぅ・・・へっ!おまえのようなチビの痩せっぽちから逃げるのはアライさんのゆうしゅーなチビ達なら楽勝なのだぼっ」
そう悪態を吐くアライさんの背中に少女は杭を刺した。金属の杭はアライさんの脊髄に刺さりアライさんは糞尿を同時に漏らした。
アネモネ「あら、あらあらどうやって?出口は私の後ろだけでは?それとも他に出口が?ええ、そうでした、そう、目的を忘れていました。このご近所にいる全てのアライさんの家族。それを教えていただければ。あなた方は救います。」
アライさん「ぐ・・・助けてくれるのだ?」
アネモネ「はい、そうです。救済します。ですがあのアライちゃんは病院に連れて行くのです。ああ、これが目的でした」
アライさん「ちっちゃいチビは好きにするのだ。それとアライさんも病院に連れて行くのだ。腰から下の感覚が無いのだ」
熱を持つ傷の痛みに耐えながらアライさんは少女をにらみ付ける。少女は床に落ちている食べかけのハンバーグを拾い上げてムシャムシャと食べ始める。
アネモネ「これおいしいですね。どこのコンビニですか?」
アライさん「えーと・・・お前・・・大丈夫なのだ?本当に約束が守れるのだ?」
アネモネ「ええ、守りますよ?それでアライさんの家族の場所を」
アライさん「わ、わかったのだ。それにちっちゃいチビも病院に連れて行っていいのだ」
アライさんは自分が知る限りのアライさんの住処を正直に教えた。ここで嘘を教えてしまってはこの少女はきっと帰ってくる。他の家族には悪いが自分の家族の生存が第一である。
最期の家族の場所をメモした少女は立ち上がると、先程のピッケルを取り出した。
アネモネ「ありがとうございます。あなた方は救いましょう。ええ、その前に、トイレはどこでしょうか?」
アライさん「トイレは水が流れないのでアライさん達は玄関をトイレにしているのだ。今おっきいチビが使っているから待つのだ。」
アネモネ「あら、あらそうですか。もう一方は・・・くんくん・・・くんくん・・・ああ、もう良いですわかりました」
少女はピッケルを持ったまま家の奥に向かう。アライさんは慌てて声を上げた。
アライさん「約束が違うのだ!アライさん達の家族は助けるって」
振り返った少女は微笑んでいる。ここまで彼女はずっと微笑んでいた。誰もを安心させる微笑みを浮かべたまま、その表情が途切れることはなかった。
アネモネ「ええ、助けます。だって、そうでしょ?生きたまま長く苦しむより『中ぐらい苦しんで、キラキラしたまま死んだ方が幸福』でしょう?」
アライさん「ちびぃいいいいいいちびぃいいいいいいい!ああああああ!逃げるのだ!逃げるのだあああああ」
アネモネ「神に祈るのです。アライさんの祈りは神に届くでしょう。ええ、そうですね、届きます。貴方の祈りは届くのです」
アライさんの叫びを聞きながら、少女は廊下を歩く。その後ろには、下半身を不自由にされたアライさんと、腐り始めたアライしゃんだったもの。
確かなのは、彼女の言う「助ける」「救済する」の主語は命ではない。
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