93: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/14(月) 00:37:26.81 ID:DlfG3gWz0
勇者「はぁ……。何で、こんな事になってるんだ……」
ふだんとは勝手の違う、風呂に入る事ですら気を使う有り様にあらためて情けなさを覚えた。
湯から手を覗かせて見れば、いよいよ頼りなく細くて、短剣を握るのがせいぜいの大きさだった。
とはいえ――――見慣れない“手”でもあった。
この姿が当たり前だった頃は、いつも爪の間に土が挟まり、指の関節には砂埃が詰まり、青草の香りがしみついていた。
爪はでこぼこに変形して、割れて欠けていたのが常だった。
だが、今あらためて見る手は、違う。
整った爪と、砂などついていない指。そもそも花を浮かべ香油を溶かした熱い湯に身体をつけるという事などできるはずもない。
あるはずのなかった過去が、手の形を借りていた。
勇者「……そういえば、思い出した。もしかして……あれか……?」
退行現象の心当たりが、もうひとつだけ――――ふと、思い出された。
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