モバP「アイドルをオモチャにするクスリ 三船美優編」
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11: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/06/16(土) 18:39:33.43 ID:bupRRmBeo

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「今回はいかがでしたか? プロデューサーさん」

プロデューサーさんがモニタの電源を切ると、光を失った液晶に二人分の影が、
グリザイユの私とプロデューサーさんが映り込んでいました。

「向こうから、お褒めの言葉をいただきましたよ。やはり悲劇は三船美優だ、って」
「私はプロデューサーさんの感想が聞きたいんです」
「……俺でも、一瞬やばい、って思うぐらいハマってますね」
「陰、ありますからね。私は」

刑事ドラマ――私は、崖に追い詰められた犯人役でした――の映像の感想を求めると、
プロデューサーさんは曖昧な笑みを返してきました。



私は名目こそアイドルでしたが、今や活動のほとんどがドラマで、実質的には女優になっていました。

一人でステージをもたせるほど、私には華がなかったのです。
プロデューサーさんもいろいろ試行錯誤してくれましたが、どうも私がソロでやっていくのは厳しく、
何曲かシングルを出しても奮わずじまいで、アイドルとして引退寸前まで追い込まれました。

そこでプロデューサーさんは、苦肉の策として、私を女優として売り込むことにしました。
それも主演ではなく、脇役を獲りに行くタイプの女優です。

陰気な空気を醸してしまう私は――その原因が元からなのか、
プロデューサーとの後ろ暗い関係のせいかはわかりませんが――
主演を張ると、どうしても画面全体を沈ませてしまうようです。

しかし主役と対比される陰に配置されれば、引き立て役としてうまく機能する……という目論見でした。



「そういう役がスムーズに取りに行けるので、ついそればっかりになってしまって、
 たまにメインキャストになったかと思えば殺人犯だったり、当て馬ヒロインだったりで……食傷、しませんか」
「私は、プロデューサーさんが取ってきてくださるお仕事なら、どれでも嬉しいですよ」

やむを得ずの路線変更は、プロデューサーや事務所の方の予想以上に皆さんから評価を得て、
おかげさまで私はドラマのお仕事をいただき、それなりの――ドラマ好きの方には、
私の名前だけで役柄の見当をつけられてしまうぐらいの――知名度を得ることができました。

「美優さんがそうなったのは、俺のせいなんじゃないか……って。俺、プロデューサーですからね」
「らしくないことをおっしゃって……最初の最初、アイドルになったところからあなたのせいじゃありませんか」

プロデューサーさんは、自分を責めるような言葉と裏腹に、ぜんぜん悪気を感じていない声音でした。

「美優さんの陰が深くなって、それがファンや業界人を引きずり込むようなほどになって、
 それが俺のせいだと思えば……ね。プロデューサーとしては、喜んでしまいますけど」

むしろ、プロデューサーさんは私が悲惨な場面を迎えるたびに、それを喜んでくださる――
そんな気がしていたからこそ、私はためらいなく役に没入できました。

「プロデューサーのせいで、私の陰が深くなる……どうして、ですか」
「そりゃあ、俺がそういうことをさせてますからね」

プロデューサーの手が、私の頭を撫でてくれる――さり気なく、しかし偶然ではありえない動作。

「表に出せないようなことしますよ、美優さん」

それが、私とプロデューサーの符牒でした。


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