7: ◆yufVJNsZ3s
2018/10/19(金) 01:16:55.69 ID:0J++fsfw0
「え、あ、すみません。響いてましたか」
違う。そんなことを言っているのではないのだ。
「……どうかしたの?」
「この男が」
霞の物言いに体が震える。言葉を差し挟むことはしないまでも。
「印を押してなかったんです。沿岸警備部と、神祇省の御霊課に送る書類の。ほら、来月に近代化改修が控えてますから」
「大井」
困った顔をして提督がこちらを見た。
「どうやら俺が書類の山に埋もれさせてしまっていたらしくてな。こってり絞られちまったよ」
私は垂れてきた前髪を耳の後ろへと送った。意識的に。そうでもしないと、目の前の男に小言の一つや二つが漏れてしまいそうだったから。
あんなに、あれほど、よく言っておいたのに。そういうのは私に回せば、全部万端滞りなく、済ませてあげるというのに。
「……あれほど気を付けてくださいと言っているでしょう。霞も、なるべくそう言う事務仕事は、私に頼みなさい。提督はそういうことが随分と不得手なのよ」
何事にも得手不得手はあって。
誰しもがそうであることを、誰しもが理解しているとは言い難く。
「……まぁ、大井さんがそう言うなら」
霞はどこか釈然としない様子だったが、怒りもひいたのか、それともこちらを立ててくれたのか、廊下を曲がって消えていく。
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