41:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 20:36:08.35 ID:M/MIHEDN0
シトナイ「恥ずかしいとこ、見せちゃったな」
イリヤ「シトナイ……ちゃん」
シトナイ「ごめん。自分が強姦されている姿なんて見たくなかったよね」
イリヤ「そんな!それは……その」
シトナイ「わたし、あなたに憧れてたから、さ。
出来れば夢を壊すような事、したくなかった」
シトナイは儚げに微笑んで、イリヤの頬を優しくつつく。
シトナイ「自分じゃ想像もつかないぐらい、楽しそうに振る舞うあなたを見て、わたしにもそんな可能性があったんだな、って。
寂しくなった。
あなたみたいな人生も、悪くないなぁ、って」
イリヤ「そんな。そんな悲しい事言って泣かないでよ。
わたし、ずっと気付いてたの。
あなたが羨ましそうにわたしを眺めてるとこ。
だけど返す言葉がなくて。気づかないふりをしてて。
その心の空隙を狙われたのなら、今回の件は……わたしのせいだ……」
彼女は泣いている。
自分の痛みのために泣いたのではなく。
誰かの痛みに共感して泣いている。
シトナイ、いや、イリヤは、誰かのために泣いたことがあっただろうか。
大切な人を失って、心の底から悼んだ事があっただろうか。
魔術師としての正しさを追い求め。
幼い体に無感の心を詰め込んで。
ただ勝ち残るための機械であろうとした。
でもイリヤというホムンクルスは誰よりも人の愛に飢えていて。
ロボットのふりをしている衛宮士郎よりも数段、人間くさかった。
終わった結末は変えられないし、英霊となったシトナイに道を正す事は出来ないけれど。
彼女は彼女なりに、今回の一件で見える世界を変えられたと思う。
だから。
シトナイ「ありがと。助けてくれて。
あなたがいなかったらわたし、あのままおかしくなってた」
強く口にして前を向く。
対するイリヤは当然のように肯定して、改めて互いが仲間であると再認識する。
イリヤ「……当然だよ。カルデアの仲間は、マスターが絶対に見捨てない」
シトナイ「わたしを、守ってくれるんだね。安心した、よ」
極限の疲労によって急激な眠気に襲われたシトナイは、喋りながら意識を失って瞼を閉じた。
イリヤは力の抜けた彼女の体を抱きかかえて、静かに帰路への道を歩んでいく。
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